今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2023年7月「湯川 れい子」さん

湯川 れい子(ゆかわ・れいこ)さん

音楽評論家、作詞家。東京都目黒で生まれ山形県米沢で育つ。1960年ジャズ専門誌『スイングジャーナル』への投稿が認められてジャズ評論家としてデビュー。ラジオのDJやテレビへの出演、雑誌への連載など、国内外の音楽シーンを紹介している。作詞家としても『涙の太陽』『ランナウェイ』『センチメンタル・ジャーニー』『恋に落ちて』などヒット曲多数。主な著書に『音楽は愛』(中高公論新社)『時代のカナリア』(集英社)などがある。

『戦争はダメ!  すべての生き物に 優しい地球であってほしい』

時代のカナリアとしてダメなものは ダメだとはっきり言いたい

中川:
本誌のバックナンバーを調べましたら、湯川先生にはちょうど20年前に対談にご登場いただいています。その前をたどると父である先代と2回、対談してくださっています。先代も、まだまだ氣について理解されなかった時代に、湯川先生と目に見えない世界について思う存分お話ができてうれしかったと思います。
湯川:
先代に2度目にお会いしたのは1990年代の前半だったかと思いますが、ちょうど第一次スピリチュアルブームのときでした。
中川:
1992年ですね。父の主宰していた真氣光研修講座に、私が参加した年です。私は父のやっていることを怪しいと思っていたのですが、仕事のストレスで体調を崩して研修講座を受講することになりました。ずっと技術者として働いてきた私には、見るもの聞くものとても新鮮で、これからの時代に氣はとても重要な役割を果たすと感じ、翌年に父の会社に入社して、以来30年、氣にかかわっています。 ちょうど、私が入社したころは、氣功もブームになっていて、父の活動をNHKが取材に来たりしていました。 1995年12月に父が亡くなり、私が跡を継ぐ形になりました。

湯川:
先代の中川先生とは、成田空港でばったりお会いしたことがありました。確か1995年だと思います。チェルノブイリの原発事故で被ばくした子どもたちを治療してお帰りになったのではなかったでしょうか。 荷物を受け取る台のところでしたが、ひどく疲れておいでのご様子でした。それがお会いした最後でした。
中川:
休みなく世界中を飛び回っていましたからね。 ところで、湯川先生は日本のスピリチュアルの走りですよね。
湯川:
はい。限りなく怪しいところを歩いてきました(笑)。用心してあまりスピリチュアルなことを言わないようにしながら。 風向きが変わったのは1980年代でしたでしょうか。アメリカの女優のシャーリー・マクレーンさんが「アウト・オン・ア・リム」という本で自分の神秘体験を書いて、日本でも大ヒットしました。 それ以来、現実世界できちんと何かをやっていれば、目に見えない世界のことを話してもあまり胡散臭く見られなくなりました。 音楽も目に見えないですよね。当時は音楽で体や心が癒されると言うと変に見られることも多かったのですが、私は1972年から音楽療法に興味をもっていましたから、音楽療法として語れるように勉強しました。
中川:
去年『時代のカナリア』という本を出されました。どういう意味なのだろうと思って読み始めましたが、カナリアは炭鉱で有毒ガスなどを検知するために使われたことから、世の中が変な方向に行きそうになるのをキャッチして知らせる存在として生きていきたいという意味だとわかりました。
湯川:
残念なことに3月にお亡くなりになりましたが、坂本龍一さんが『芸術家、音楽家と言われる人たちは、炭鉱のカナリアです』とおっしゃっていました。 芸術家、音楽家、アーティストと呼ばれる感性が鋭い人たちは、世の中の状況に対して「時代のカナリア」の役目を負っていると思うんですね。 マイケル・ジャクソンは2009年に公開された『マイケル・ジャクソン THIS ISIT』というドキュメンタリー映画の中で、地球が後戻りするには、あと4年しかない、と警告していました。地球の危機を切実に感じ取っていたからです。でも、メディアは彼の少年愛疑惑などをかき立てるだけ。世界はそんなことにしか興味をもたなくって、あのころからあんなに一生懸命に言っていたのに、と悲しくてたまりませんでした。
中川:
「鈍感なカナリア」にはなりたくない、と書かれていますよね。
湯川:
はい。時代の変化、とりわけ時代状況の悪化に対しては、決して黙認するようなカナリアではありたくないと思っています。 私が「これだけはダメ」と考えていることはいくつかありますが、その第一が戦争です。この本を書いたときには、ウクライナの戦争は起こっていませんでしたが、一体人間はいつから戦争をしているのだろうと思って調べてみたら、1万3000年前から、集団で武器を使って同じ人間が産んだ人間と殺し合っているんですね。あらゆる動物がそんなことをしていない。恥ずべきことだと思います。 核兵器もダメ。地球環境汚染もダメ。原発もダメです。時代のカナリアとしてダメなものはダメだとはっきり言って、責任ある行動をしていきたいと思っています。<後略>

東京都目黒区の会議室にて 構成/小原田泰久

湯川れい子さんの著書

『時代のカナリア』(集英社)

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