今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2009年2月 「坂本 小百合」さん

坂本 小百合(さかもと さゆり)さん

横浜市出身。横浜雙葉学園高校卒業後、明石リタの芸名で、ファッションモデルとしてデビュー。モデル引退後、動物プロダクションを経営。平成8年、私設の動物園「市原ぞうの国」をオープン。著書に「ちび象ランディと星になった少年」(文藝春秋)「ゾウが泣いた日」(祥伝社)ほか。

『息子の遺志と自分の夢。ぞうの楽園計画が着々と進行中!』

20年という短さだったけど中身は濃かった

中川:
すごい竹林ですね。こんなところに建物があるとは思いませんでした。道路からはまったく見えませんでしたから。動物園まで行ってしまいました。でも、静かでいいところですね。坂本さんの隠れ家ですか。
坂本:
昨年、引っ越すから買ってもらいたいと言われて買ったんです。どうしようもない竹やぶだと思っていたけど、こうやって手を入れるといろいろ使えそうになってきました。この間、この部屋で息子の17回忌をしました(部屋の奥に祭壇があって、そこに大きく伸ばした哲夢さんの写真がある)
中川:
この方が哲夢さんなんですね。もう17年になるんですか。映画(「星になった少年」)を拝見しました。うちのスタッフもみんな見ていて、すごくいい映画だったと言っていました。ゾウと人との交流はとても心が温まりました。悲しい結末が待っていましたけど、それで終わりではなくて、哲夢さんの思いはずっと引き継がれていくという余韻を感じました。私たちは、氣と呼ばれている生命の根源にあるエネルギーをテーマにしています。氣は心というように、心の持ち方がとても大切だよということを、いろんな方法で伝えていきたいと思っています。あの映画を見て、ゾウと哲夢さんの交流は、まさに氣のつながりだなと感じました。だから、ゾウの気持ちがわかるし、自分の思いをゾウに伝えられたのだろうと思います。
坂本:
子どもが先に亡くなってしまうという体験をするのは、世の中の5%くらいじゃないかと思うんですね。息子の場合は事故でしたから、心の準備も何もなくて。死が突然やってくるのは、経験した人じゃないとわからないひどい苦しみです。いくら問いかけても言葉は返ってこない。どうやってあの子とコンタクトをとればいいかと考えたら、やっぱり心なんですね。私は、宝石が好きで、いつもキラキラさせていたのですが、宝石をつけているとコンタクトできないとわかったので、全部はずしました。そしたら、息子と気持ちの中で遊ぶことができるようになりました。
中川:
確か、哲夢さんが亡くなったとき、ゾウさんたちが一斉に鳴いたということでしたね。
坂本:
鳴くというより叫び声だったようです。『パオーンパオーン』ってリーダーのミッキーとミニスター、ランディ、ようこという4頭のゾウが、同じ方向を向いて、今までに聞いたことのない声を上げて、涙を流していたそうです。私は、社員たちの慰安旅行でグアム島へ行っていました。だから、事故のことを知ったのは、半日後のことでした。
中川:
哲夢さんは、ゾウつかいになると決めると、お母さんが高校くらい行きなさいというのを聞かずにタイへ修行に行きましたよね。何か、生き急いでいたような気がしますね。
坂本:
そうなんですね。20年という短い人生でしたが、中身はすごく濃かったんじゃないかって、みなさんに言われます。
中川:
自分の最期がわかっていたんじゃないかって、感じるんですよね。
坂本:
そうかもしれません。亡くなる1週間くらい前に外勤があって、スタジオに社員と一緒に行ったんですけど、車の中で、死んだら人間ってどこへ行くんだろうと言ったらしいんですね。亡くなったのがうぐいすラインというところなんですね。その手前に大きな交差点があって、うぐいすラインがまだきれいになっていないころで、亡くなる1年ほど前だったかな。そこを車で通りかかったときに、哲が『こっちへ行くとママどこへ行くの』って聞くから、『よくわからないけど、千葉の方へ行くみたいよって高速ができるまで近道でみんな抜けていくみたいよ』って言っちゃったんですね。その後、自分で開拓して近道を発見したらしいんですよ。それでそっちを通って事故にあって亡くなったんですよ。今でもその交差点を通るときには、『ママ、こっち行くとどこへ行くの』という声がわっと出てきますね。

<後略>

(2008年11月28日 『市原ぞうの国』近くの宿泊施設にて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

坂本小百合さんの著書 「ゾウが泣いた日」(祥伝社)

市原ぞうの国
〒290-0521 千葉県市原市山小川937
TEL.0436-88-3001
ホームページ : http://www.zounokuni.com/

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