今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2017年3月 「村上 貴仁」さん

村上 貴仁(むらかみ たかひと)さん

1970年札幌市生まれ。97年より洞爺にて農業を始める。2005年11月10日、4歳の長男・大地君を突然亡くす体験をきっかけに命について真剣に考えるようになる。現在は、「佐々木ファーム」を運営しながら、「生きることは食べること、食べることは命をいただくこと」をコンセプトに、「一般社団法人大地が教えてくれたこと」で「ありがとう農法」の普及に取り組んでいる。著書に「大地がよろこぶ「ありがとう」の奇跡」がある。
佐々木ファーム http://sasakifarm.net/
一般社団法人 大地が教えてくれたことhttp://daichi-guide.com

『すべての命にありがとうと感謝する「ありがとう農法」の奇跡』

4歳の息子が突然旅立って行ったのをきっかけに大きな変化が

中川:
村上さんは、北海道の洞爺湖で佐々木ファームという農園を経営されていますが、もともとは札幌の出身だそうですね。実は、私も札幌生まれなんですよ。
村上:
そうですか。何歳くらいまで札幌におられたのですか。
中川:
大学を出てから就職で東京へ出て来ました。ちょうどそのころ、父も東京で仕事をするようになったので、結果的に、一家で東京へ来ることになりましたね。
私は、もともとエンジニアだったのですが、ひょんなことから父がやっていた氣の世界に入って、もう20年を超えました。こんな人生になるとは、東京へ来たころには想像もしていませんでしたが、村上さんは、私以上に思ってもみないような流れの中で、大変なご苦労をされながらも、すごい世界にたどり着いていると思います。村上さんが去年出された『大地がよろこぶ「ありがとう」の奇跡』(サンマーク出版)という本を読ませていただいて、自分の身に起こってくることは、すべて必然なのだということを、改めて感じることができました。
2005年に、4歳の息子さん、大地君が、突然亡くなりましたよね。お子さんを亡くすということは何よりも辛いことだと思います。でも、あとになって振り返ると、彼が亡くなったことで、大きな変化が起こってきましたよね。今、村上さんがやっておられる「ありがとう農法」ができたのも、大地君が亡くなったのがきっかけになっています。
大地君は亡くなることで、ご両親に、とても重大な使命があることを伝えてくれたように感じました。それが、彼の役割だったかもしれません。
本を読むと、大地君は、自分が亡くなることを、知っていたような行動をとっていますよね。
村上:
そうなんですよ。大地は、亡くなることでも、そして亡くなったあとも、私たちにいろいろなことを教えてくれているように感じてなりません。
彼が亡くなったのは、2005年の11 月10日でした。それまで、大地は健康優良児で、病気などしたことがありませんでした。でも、あの日は、保育園から帰ってくると、ちょっと疲れたから寝るねとベッドに入りました。2時間くらいしたら熱が出てきました。それで、頭を冷やしたりして看病をしていたのですが、その2時間後くらいには、心臓が止まっていました。
大地は、10月の上旬から、いつもと違うことをやり始めました。まずは、1日1個ずつ、壊れたおもちゃを私のところへ持ってきて、直してほしいと言うんですね。ちょうど、秋の農作業が忙しい時期で、それどころじゃなかったのですが、言い出したらきかない子だったので、仕方なく直してあげていました。それが毎日続きました。亡くなったあと、部屋を片付けに入ったら、直した順番に、おもちゃが並べてありましたね。
おもちゃのあとはDVDでした。機関車トーマスとか戦隊ものが大好きで、DVDがたくさんありました。そのDVDを、私と一緒に見たいと言うのです。一日一本、亡くなるまでに、持っているのを全部見ましたね。
おじいちゃん、おばあちゃんが、何か買ってあげるといっても、いらないって言うようになりました。それまでは、喜んで買ってもらっていたのに、どうしたのかなと思っていました。ランドセルを買ってあげるという話になったときも、欲しがらないのです。
中川:
自分が間もなく死んでしまうことがわかっていたんでしょうかね。
村上:
そうかもしれないと思います。ほかにも、自由帳を細かく切って、そこに数字の1を書いて横に0をたくさん並べて、お札を作っていましたね。まだ、字も書けないし、数字だってよくわかってなかったと思いますよ。
当時、うちは経営が厳しくて、借金もたくさんありました。もちろん、そんなことは大地には一言も言っていません。なのに、お札を一日に何枚か作って、何十枚かになると赤いテープで束ねて札束にして、それがいくつかできると、封筒を作って札束を入れて、妻に「これでうちはお金持ちだからね。ぼくがお金をいっぱい作ったからね。大丈夫だよ、お母ちゃん」って言って渡すんですよ。4歳ですから、お金のこともわからないし、札束なんて見たこともないのに。
何だったんでしょうね。今はお金がなくても絶対にうまくいくからというメッセージだったのでしょうかね。
今でも、その札束はとってあります。

<後略>

(2017年1月13日 東京・大森カンファレンスセンターにて 構成/小原田泰久)

著書の紹介

「大地がよろこぶ「ありがとう」の奇跡」 村上 貴仁 著 (サンマーク出版)

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