今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2021年10月「濁川孝志」さん

濁川孝志(にごりかわ たかし)さん

1954年新潟県生まれ。立教大学で30年以上にわたって教鞭をとり、学生たちに霊性(スピリチュアリティ)について真摯に語りかけている。「霊性の喪失が現代社会のさまざまな問題を生み出している」という確信から、数々のシンポジウムやイベント、講演会を通して霊性の重要性を訴えている。著書に『星野道夫 永遠の祈り』『ガイアの伝言 龍村仁の軌跡』『大学教授が語る霊性の真実』などがある。

『若者たちに“霊性”の大切さをわかりやすく伝えたい』

日本人には、見えないものを敬い畏れるという気持ちがある

中川:
 先生の書かれた『大学教授が語る 霊性の真実』(でくのぼう出版)を読ませていただきました。 霊性とかスピリチュアリティといった話は、どうしても非科学的だということで、なかなか学問の対象にはならないと思います。にもかかわらず、20年以上も霊性をテーマに研究をされてきた大学教授というのはどういう方なのか、お会いできるのをとても楽しみにしていました(笑)。
濁川:
 ありがとうございます。私も、氣功にはとても興味があって、論文を書いたこともあります。氣を受ける前と後とでは体や心の状態が変わるという内容です。たとえばせっかちな人が氣を受けることでゆったりと生きるようになったりするのです。 私の方こそ、会長からどんなお話が聞けるのか楽しみにして来ました。
中川:
さっそくですが、先生はなぜ霊性に興味をもたれたのかお聞かせいただけますか。
濁川:
私はもともとの専門は運動生理学でした。運動や山登りが大好きでしたから、人間の体の研究というのはとても面白かったですね。 健康科学という講座をもつことになって、健康は体だけでないだろうと思い始めました。心の健康も大切だし、霊性というのもあるじゃないかと少しずつ膨らんでいきました。気づいたら霊性が中心になっていました。それが40歳くらいでしょうか。 振り返ってみると、子どものころ「自分は何のために生きるのか」とよく考えた記憶があります。自宅の部屋で一人ぼんやりと過ごしていて、なぜかものすごい孤独感に襲われるわけです。そんなとき、人は死んだらどうなるのだろう、なぜ生きないといけないのだろう、宇宙の果てには何があるのだろう、と思ったりしていました。 かなり変わった子どもだったかもしれません(笑)。 20年ほど前、あることで大きなストレスに襲われました。悩みに悩みました。自分は何のために生まれてきたのだろうと毎日、自分に問いかけていました。 そんなときに、同僚が当時福島大学の教授だった飯田史彦先生の『生きがいの創造』(PHP出版)という本を紹介してくれました。「死後の生」や「生まれ変わり」「ソウルメイト」といったスピリチュアルな世界から生きがいについて論じたとても奥深い本でした。この本を読んで私は「これでいいんだ」と思えて、悩みから脱することができました。それがきっかけで、本気で霊性について研究をするようになりました。
中川:
 なるほど。WHOの健康の定義でも霊性を入れようという提案があったということで話題になりました。もう20年以上も前になりますかね。残念ながら、提案だけで終わっているようですが。 私の父である先代の会長が「氣によって霊性を高め、地球の環境を浄化する」とよく言っていたので、私には霊性という言葉に抵抗はないのですが、一般の人にはまだまだすんなりとは受け容れられませんね。 先生は霊性についての講義をしているそうですが、学生さんの受け止め方はどうでしょう。
濁川:
 いきなり生まれ変わりの事例とか臨死体験、幽体離脱といった話をすると、学生は目を白黒させています。そんな話、大学の講義で聴くとは思ってもないでしょうから。 いきなりスピリチュアルな話をするのではなく、講義をする前に、あなたは神社やお寺へ行ったことがありますか?と聞きます。だいたい「ハイ」と答えます。次に「神社やお寺では手を合わせますか?」と聞くと、「ハイ」という返事が返ってきます。「お墓参りをしますか?」「何のためにお墓参りをしますか?」と質問を続けていきます。そんなこと深く考えてない学生がほとんどなので、何のための質問なのかときょとんとしています。
中川:
 習慣だからとか何となくという人がほとんどでしょうね。
濁川:
 日本人の根底には、見えないものを敬い畏れるという気持ちがあるから、神社やお寺で手を合わせたり、お墓参りをするのだと思います。
中川:
 最初に日本人の心というものにアクセスしてから講義に入っていくのですね。
濁川:
 そうですね。3〜4週間講義をしてから、神社やお寺に行って手を合わせたり、お墓参りをする意味を問い直してみます。 半数くらいは、習慣でやっていたことにもこういう意味があったのだと、私が言っているスピリチュアルな内容を受け容れてくれます。残りの半数は理屈としてはわかるけれども理解しがたいとか、にわかには信じられないという反応です。

<後略>

大学教授が語る霊性の真実 ─魂の次元上昇を求めて

濁川孝志 (著)
でくのぼう出版

この対談の続きは会員専用の月刊誌『月刊ハイゲンキ』でご覧いただけます。
月刊誌会員登録はこちら
この対談の続きは会員専用の月刊誌『月刊ハイゲンキ』でご覧いただけます。
月刊誌会員登録はこちら