今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2010年1月 「西舘 好子」さん

西舘 好子(にしだて よしこ)さん

東京・浅草生まれ。1980年代から劇団の主宰や演劇のプロデュースで活躍。30年間に及ぶ演劇活動、著作活動をへて、2000年に日本子守唄協会を設立。子どもたちへの文化の継承に力を入れている。著書は、「うたってよ子守唄」(小学館文庫)ほか多数。

『子守唄は親と子の命のコミュニケーションの始まりです』

子守唄は母親から子へ命を伝えていく貴重な宝物

中川:
はじめまして。西舘さんと子守唄協会のことはホリスティック医学の帯津良一先生からお聞きし、今の時代にとても重要なことをやっておられると思いまして、お話をおうかがいしたいということでお邪魔しました。今日は、よろしくお願い致します。
西舘:
そうでしたか。帯津先生のおっしゃっていらっしゃる「からだとこころといのち」をまるごと見る医学の根本は、私どもの考えと同じだと思います。この協会も10年を迎えて、その記念のイベントで帯津先生にお話をいただいたばかりなんですよ。
中川:
そうでしたか。この活動をやられて10年ですか。それはおめでとうございます。こういう活動を行うようになったのは、子守唄がなくなっているので、保存しようということからですか?
西舘:
なくなっているというよりも、忘れられているということでしょうかね。動物学者の先生もおっしゃっていますが、知恵を伝えられるのは人間だけだそうです。文明も文化も、進化しながら伝えられていきますよね。でも、伝えなければならないものが伝わりにくくなっているのが現代だと思うのです。10年くらい前でしょうか。幼い命が失われたり、子どもが残虐な事件に巻き込まれたりすることが目立ってきたころです。今では、その哀しい現象は日常化してしまっています。これはどうしたことか。つまり、命の根源というか、その命の大切さが伝えられなくなったことで、こんな嫌な世の中になってしまったのではと思うに至りました。それを突き詰めていったら、子守唄に行き着いたということなのです。
中川:
なるほど。世の中が物質的にとても豊かになって、心というものがどこかに置き去りにされて、いろいろな問題が起こっているということですね。子守唄と言えば、私も母によく唄ってもらったのを覚えています。子守唄が、母から子へと心を伝えていく手段になっているということでしょうか。
西舘:
会長は「氣」のことをなさっておられますね。私は、子守唄こそ「氣」だと思っているのです。アワアワアワと言って赤ちゃんをあやしますね。あれもお母さんが赤ちゃんに氣を送っているので昔からの知恵のたまものです。それを赤ちゃんが受けて、そこから生命力や生きるリズムをもらっているのではないでしょうか。
中川:
氣のお話が出てきて、うれしいですね。私もそう思いますね。お母さんが、赤ちゃんに「よしよし」ってするじゃないですか。あれも氣を送っているんだと私は思っています。そして、赤ちゃんは、かわいい笑顔で氣を送り返してきます。子守唄というのは、親と子の氣のやり取りですね。
西舘:
そうです。子守唄は、ダサいとか暗いとか悲しいとか古いと言われます。そんなものは捨ててしまっていいんじゃないかと思われる方もたくさんいるかもしれません。でも、命の根源から伝わってきているものというのはなかなかなくなるものではありません。子守唄というのは、母親から命と生きる力を伝えられる貴重なものだと思いますよ。決して、古いからいいということではなくて、古いものはそのエキスに貴重なものを温存しているのでどんな時代になっても形を変えて今に伝えられているのではないでしょうか。

<後略>

(2009年11月12日 東京都台東区の日本民族音楽協会にて 構成 小原田泰久)

DVDの紹介

子ども虐待防止のためのDVD『子守唄という処方箋-STOPザ虐待
カラー・ステレオ約24分、12Pカラーブックレットつき 1,500円(税込)
お問合せ・お申込みはインターネット(http://www.komoriuta.jp/
または、NPO法人「日本子守唄協会」事務局
まで 電話(03-3861-9417)またはFAX(03-3861-9418)

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