今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2012年8月 「阿岸 鉄三」さん

阿岸 鉄三(あぎし てつぞう)さん

1934年(昭和9年)札幌生まれ。北海道大学医学部卒業。同大学院(外科系)修了。神戸大泌尿器科講師、2度のアメリカ留学をへて、東京女子医大腎センター外科教授、所長を務め、2000年に定年退職。現在、同大名誉教授、大分大学客員教授、桐蔭横浜大学客員教授、江戸川病院ヘルシーエイジングセンター長。

『医学部教授が気功師になって気づいたこと』

透析患者の血流が良くなれ ばと外気功を試してみた

中川:
先生と初めてお会いしてからもう20年ほどになりますかね。お変わりなくお元気そうで何よりです。まだ現役で診療されているそうですね。
阿岸:
77歳になりましたけど、おかげさまで元気にしています。会長とお会いしたのは、先代会長のころで、私が生駒の研修所へ見学におうかがいしたときです。1994年だったかな。
中川:
18年前ということになりますね。研修講座にお医者さんが来られることはありましたが、現役の医学部教授がお越しになるというのは初めてだったと思います。先生は一泊してお帰りになりましたが、その一泊が先生の人生に大きな影響を与えたわけですよね。
阿岸:
本当にそうでしたね。自分でも想像できないような展開となりました。
中川:
もともとは、当時、東京女子医大の助教授だった本田宏先生がきっかけですか。
阿岸:
そうですね。そのころ、私は腎臓病総合医療センターの外科教授でした。あるとき、本田先生が、病院に気功師を連れて来ました。先代の弟子だった方です。私は手をかざして何かが起こるなどということは信じていませんでした。医学なり医療というのは、科学技術を応用したもの以外には考えられなかったからです。
それでも、せっかく来られたのですからお話だけはお聞きしました。その方の話をお聞きして、私が興味をもったのは、手をかざすと患者さんの体が温かくなるということでした。透析の患者さんの中には、閉塞性動脈硬化症と言って、血液の巡りが悪くなって、体が芯から冷えてたまらないという方が少なくありません。下肢に起こることが多くて、夏でも毛糸の靴下を3枚重ねてはき、湯たんぽやアンカを使っても足が冷たくて眠れないという人もいます。
体が温かくなるなら、そういう患者さんに外気功を受けさせたらどうだろうと、ひらめいたんですね。
中川:
いやあ、それはすごいですよ。頭から拒絶せずに、試してみようと思われたのですからね。
阿岸:
何だったんでしょうね(笑)。すぐに数人の患者さんにお話をして、外気功を体験してもらいました。そしたら、みなさん、体が温かくなったと言うんですね。それで、私は温かくなったというのをもっと客観的にとらえられないかと思って、サーモグラフィで測定してみることにしました。あと、血流の測定ですね。
過去の医学論文も調べてみました。過去10年間検索をしましたが、気功のことを書いた医学論文はなかったですね。あとからわかったのですが、気功を研究する団体というのはほとんどなくて、あっても小さな団体で、それも医学者よりも理工学を専門とする人が多く、権威ある学会誌や商業誌に気功をテーマに投稿しても、査読の段階で掲載を拒否されてしまっていたようでした。気功のことがわかっている査読者なんていませんからね。結局、少部数の雑誌に掲載されるだけなので、論文検索をしても引っかかってこなかったんですね。
中川:
なるほど。ある意味、先生はパイオニアですから、すべて自分で考えてやっていかなければならなかったわけですね。でも、サーモグラフィで調べてみようとひらめいたのはすばらしいですね。あれを使えば、体が温かくなるのが一目瞭然ですからね。
阿岸:
気功師の方に毎週1回来てもらって、下肢閉塞性動脈硬化症の患者さんに対して外気功をしてもらいました。女子医大の地下にサーモグラフィの検査室があって、気功治療を行うに当たっては私も責任がありますから、数時間の治療の間、そこに詰めていました。20名の患者さんに、それぞれ1回から6回、延べ30回の外気功治療を行いました。
その結果ですが、まず、患者さんの自覚症状では、気功を受けて数分以内に、下肢が温かくなってきて、温かくなるに従って痛みも軽減してきたと言う人が多かったですね。お風呂に入っているみたいに温かいのですが、お風呂だと出るとすぐに冷えるのに、外気功だと24時間、温かさが継続するという方もいました。
30回の外気功のうち、25回はやや改善以上の“有効〟という結果が出ました。

(後略)

(2012年5月23 日  SAS東京センターにて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

科学的医療と非科学的医療の統合―統合医療の本質 (スコム・同時代医学双書) 金原出版

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