今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2015年8月 「北原 照久」さん

北原 照久(きたはら てるひさ)さん

1948年東京生まれ。1986年「多くの人に見て楽しんでもらいたい」という思いで、横浜山手に「ブリキのおもちゃ博物館」を開館。ブリキのおもちゃのコレクターとして世界的に知られている。株式会社トーイズ代表取締役、横浜ブリキのおもちゃ博物館館長、箱根北原おもちゃミュージアム館長、河口湖北原ミュージアム館長。テレビ東京「開運! なんでも鑑定団」に鑑定士としてレギュラー出演。著書は「横浜ゴールドラッシュ」「夢はかなう きっとかなう」(一季出版)「珠玉の日本語・辞世の句」(PHP研究所)「facebook100の言葉」(たちばな出版)「出会い 夢 感謝 北原照久の人生コレクション」(マネジメント社)ほか多数。

『「ありがとう」と「やればできる」を胸に夢を叶えてきた』

最低の状態のときに、母親の言葉で生き方が大きく変わった

中川:
今日は、お忙しいところ、お時間を作っていただきましてありがとうございます。テレビでちょくちょく拝見しているので、初めてお会いするような気がしません(笑)。テレビの「開運! なんでも鑑定団」は、もう20年を超えるそうですね。
北原:
鑑定団は、もう22年になりますね。皆勤賞は、僕だけですよ。テレビは、地元の番組を含めて、今4本かな。それにラジオがあって、講演は年に150回。毎日、講演しているって感じですね。一日に3回講演をしたこともあります。今67歳ですが、人生で一番忙しくて、充実していますよ。
42歳の厄年のときに、10年後、20年後、今が一番いいという人生を送りたいと言った覚えがありますが、まさにその通りになっていますね。
中川:
常に今が一番ですか。それは間違いなく充実の人生ですね。
北原:
37歳のときに、お金がない、人脈がない、ノウハウがないという中で、「ブリキのおもちゃ博物館」をオープンさせて、そのあともいろいろとありましたが、本当にいい人生を送れていると感謝しています。開設当初、妻とスタッフと3人で、いつかだれもが一度は足を運んでくれる「横浜の名所」にしようと、夢を語り合っていたのを、よく覚えていますよ。熱意、情熱、夢があれば、何とかなるということを学びましたね。
中川:
人生の転機もいろいろとあったでしょうね。
北原:
ありました、ありました。波乱万丈と言ってもいいかもしれませんね。だけど、いつもまわりに助けられて、ピンチをチャンスにすることができました。
特に、まわりの人たちがかけてくれた言葉には本当に救われました。実は、僕は言葉のコレクターでもあります。言葉にはすごいエネルギーがありますね。僕は、それを実感してきたから、いい言葉を集めて、それをフェイスブックや本で発信しています。
中川:
言霊と言いますからね。言葉によって人は大きく変わりますね。何か、言葉のエネルギーを感じたきっかけというのはあるのですか?
北原:
中学生のとき、反抗期がひどくて、ほとんど学校へ行きませんでした。学校をさぼって、映画館や遊園地をブラブラしていました。喧嘩もしたし、結局、退学になってしまいました。越境入学をした中学校だったので、本来の校区にある学校へ戻れというわけですよね。さすがに落ち込みました。そのときに、母親に言われた言葉が胸に響きましたね。僕は、てっきり怒られるものだと思い込んでいましたから。
母は、こう言ったんですね。
「すんだことはしょうがな
い。お前はこれからの人生の方が、これまでよりも何倍も長いんだよ。めげることはないよ」
さらに、こんなことも言ってくれました。
「人生はやり直しはできないが、出直しはいつでもできる。それに、お前はタバコを吸わないじゃない。いいとこあるよ」
心にすーっと染みましたね。確かに、僕はタバコには一度も手を出していませんでした。悪さばかりやっている息子なのに、きちんと見ていてくれていたんですね。
そしてもうひとつ。
「お前は本当はやさしい子なんだよ。だって、お前は花を踏まなかったじゃないか」
幼稚園のころ、初めて新品のゴム長靴を買ってもらって、うれしくて水たまりではしゃいでいたとき、傍らにあった花をよけて踏まなかったことを褒めてくれたんですよ。うれしかったですね。
中川:
すてきなお母さんですね。普通なら、カンカンになって怒るんでしょうけどね。人は、褒められるとエネルギーが湧き上がってきますね。特に、母親から褒められるのはうれしいものですよ。
北原:
そんな中学時代ですから、高校なんて行けないと思っていました。でも、父親が高校くらい行っておけと言うので、考え直して、何とか高校に滑り込むことができました。ここで、すばらしい先生に出会いました。担任でラグビー部の顧問をしていた沢辺利夫という先生です。僕がテストで60点をとったら、自分のことのように喜んでくださって、「北原、お前はやればできるじゃないか、すごいな!」と褒めてくれました。それがうれしくて、先生に褒められたい一心でがんばりました。そしたら、ビリで入学した僕が、トップで卒業しましたからね。先生に言われた「やればできる」という言葉は、今でも僕の生き方の根底にしっかりと根付いていますよ。

<後略>

(2015年6月26日 横浜ブリキのおもちゃ博物館にて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

「出会い 夢 感謝 北原照久の人生コレクション」 北原 照久 著 (マネジメント社)

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