今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2004年9月 「千野 真沙美」さん

千野 真沙美(ちの まさみ)さん

1969年東京生まれ。3歳より母親の主宰する「谷口バレエ研究所・えぽっく」でバレエを始める。11歳で「くるみ割り人形」のクララ役で初舞台。15歳でオーストリア、ハンガリー公演「ピエールとシベール」「女面」で主役。玉川学園高等部在学中にソ連に短期留学、卒業後「モスクワアカデミー舞踊学校(ボリショイ・バレエ学校)」に国費留学し、主席卒業。1989年「ロシア国立モスクワ音楽劇場ダンチェンコ・バレエ団」にソリストとして入団。1990年「ロシア国立バレエ団」に移籍、現在ソリストとして活躍中。「日本バレエ協会新人賞」「全ロシアバレエコンクール銀賞」など国内外で数々の賞を受賞。モスクワ大学物理数学助教授の夫と5歳の長男との三人家族。

『舞台上で気持ち良く軽く楽しく踊れること それが最高!』

ロシア国立バレエ団の 日本初公演で来日

中川:
先日、千野皓司監督と対談をさせていただきました(本誌167号に対談記事掲載)。その際に、監督のお嬢さんがロシアでバレエのソリストとしてご活躍で、6月に日本公演で来日されるということをちょっとうかがったものですから、それは是非お目にかかってお話をお聞きしたいと思いまして。
千野:
あ、父が?そうなんですか。知らなかった(笑)。父は父で、映画という自分の世界に脇目もふらず突き進んでいるし、母も私もバレエという世界に没頭していて、姉は画家で…というように、ウチはみんなそれぞれ自分のやりたい世界を持っていて、それ一筋という感じなんですね(笑)。ロシア国立バレエ団が日本公演を行ったのは、今回が初めてで、6月19日から東京、埼玉、千葉、神奈川の6ヶ所で舞台があり、スケジュールがいっぱい。私も両親たちとゆっくり会う暇もないのです。
中川:
芸術家ご一家ですね。数日後には、もうロシアにお帰りだとか。大変お忙しいところを、時間をいただいて有り難うございます。私も6月24日の舞台を拝見させていただきました。実は、私はバレエというものを観たのは初めてなのですよ。踊りといえば、盆踊りくらいで(笑)。随分華やかで美しく、また非常にハードなものなのですね。今こうしてお目にかかると、とても華奢きゃしゃな方なのに、どこにあれだけのエネルギーがあるのかと驚きます。
千野:
私は、今回は「盲目の少女」という、目の見えない少女が恋をするという小作品を踊ったのですが、この作品はもう91年からですから1000回くらいは踊っています。
中川:
そんなに!登場人物も二人だけで舞台装置は何もなく、衣裳も非常にシンプルで、暗闇の中にそこだけスポットライトが当たっていて二人の動きを追っている…それだけなのに、非常に何か雰囲気が感じられ、心惹かれる踊りでした。これも、まさに“氣”でしょう。
千野:
氣…ですか、私はよく知らないのですが、何でしょうか。
中川:
私どもは、見えないもの全てを氣と言っています。物にも人にも氣はあって、絶えず周りのものと氣の交流をしながら生きているわけです。例えば、この花からも(と卓上の紫陽花あじさいを指差して)私たちは氣をもらっています。あぁ、綺麗だなぁ、と思うと心が和みますが、これも氣が関係しているのです。
物や人間、植物、動物ばかりでなく、言葉にも氣があります。いいエネルギーを持っている言葉もあれば、良くないものもあります。「ありがとう」というのは、とてもいい氣の言葉です。いい氣を取り入れて、幸せに生きていこうということなんです…今日は、バレエを知らない人と、氣をご存じない方との対談ですね(笑)。
千野:
ハハハ、それって面白いかも(笑)。
中川:
真沙美さんの日本公演を見た知人が、舞台に真沙美さんが登場するとパッと舞台が明るくなるような、小柄なのに手や足の先の方までオーラーが広がって大きく感じる、というようなことを言っていました。これは、真沙美さん自身が持っていらっしゃる氣を、観客の方が感じるのです。
千野:
そうなんですか、それは嬉しいですね。ロシア人は身体が大きいし手足が長いし、私がその中に入ると、私って小さいなと思って、ちょっとコンプレックスを感じたりしたこともあったのですが。

<後略>

(2004年7月1日 東京・町田市「谷口バレエ研究所」にて 構成 須田玲子)

この対談の続きは会員専用の月刊誌『月刊ハイゲンキ』でご覧いただけます。
月刊誌会員登録はこちら
この対談の続きは会員専用の月刊誌『月刊ハイゲンキ』でご覧いただけます。
月刊誌会員登録はこちら