今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2005年9月 「池間 哲郎 」さん

池間 哲郎( いけま てつろう)さん

1954年沖縄生まれ。NGO沖縄アジアチャイルドサポート代表理事。主に、アジア(ベトナム、タイ、フィリピン、カンボジア、モンゴルなど)のゴミ捨て場やスラムなどの貧困地域へ足を運び、そこで見た貧しい人々の過酷な現状や今日を必死で生きる子どもたちの姿に心を動かされる。私たちの「少しだけやさしい心」で、いかに多くの人の命が救われるか、講演、写真、ビデオを通して伝えている

『一番大事なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きることです。』

必死に生きる子どもたちの姿に涙が止まらなかった

中川:
池間さんの『あなたの夢はなんですか? 私の夢は大人になるまで生きることです』という本を読ませていただきましたが、最後の方は涙が出て止まりませんでした。本当に大変な思いをしている子どもたちがいるんだなあと、心にずきんときましたね。
この本も池間さんの活動も、多くの人に知っていただきたいと思って、ぜひ対談をとお願いした次第です。いろいろとお話を聞かせてください。
池間:
ありがとうございます。
私は氣のことに関しては素人ですが、氣は間違いなく存在していると思っています。人間は、生きている以上、氣を発するし、氣を受けているはずです。やさしさというのは氣なんじゃないかと思いますね。
今日は、氣のことをいろいろお聞きできると思って、私も楽しみにしています。
中川:
そう言っていただけると光栄です。
私は、心や魂から氣が出ていると考えています。自分が楽しくなれば相手も楽しくなるし、相手が楽しくなれば自分も楽しくなります。これは、氣の影響だと思います。氣は持ちつ持たれつ、与えるばかりでなくもらうこともあって、氣の交流が起こり、お互いに成長していけますね。
ところで、池間さんはもともとビデオ制作の会社の社長さんだそうですが、何がきっかけで海外の子どもたちを撮るようになったのでしょうか?
池間:
話せば長くなるのですが(笑)、私自身のおいたちとも関係があるんですね。
私は沖縄の生まれですが、沖縄の人たちは、本土の人たちにはわからないような体験をしています。貧困があって、戦争では局地戦があり、目の前で家族や友人が殺されていくのを見ています。
そして、何よりも差別がありましたから。アメリカ人からの差別を体で感じていました。
そんなこともあって、差別に対する疑問とか憤りというのは、人並み以上にありました。発展途上国と呼ばれている国々には今も差別があります。そうした国々の差別に対する問題意識は持っていました。
それが大きく膨らんだのは、台湾へ行ったときのことです。売春問題を取材することがあったのですが、そのときに、売春婦の中に10歳にもならない子どもがいるのを知って、これは大変なショックでしたね。
いろいろと調べていくと、彼女たちは山岳民族だとわかりました。差別されている人たちだったのです。それを知って、かつての自分たちの姿とダブりましたね。
でも、そのときは、ここまでのめりこむとは思ってもいませんでしたが(笑)。
中川:
人生というのは、何がきっかけになって大きな変化が起こるかわかりませんね。
池間さんが、今の活動をやっていくことを決断した決定的なことって何だったのか、すごく興味ありますね。
池間:
私のおやじは警察官なんですが、私はおやじに2回捕まるほど、若いころは無茶をやっていました。へたに空手をやっていたものだから、いつも血だらけ。
暴れるばかりで、何をするにもいつも中途半端で、人生を大切にしてなかった。
そんなときに、フィリピンのゴミ捨て場へ行ったわけです。そしたら、3歳、4歳の子どもたちが朝から晩までゴミを拾っていた。もともと映像屋だから、その姿が目に焼きついてしまった。ツメがはがれているとか膿が出ているとか。血だらけ、傷だらけ…。
ふと、こんな小さな子どもがここまでして必死に生きているのかと、胸がいっぱいになってきました。ゴミの中で泣いていましたね。
自分が恥ずかしくなった。一生懸命に生きないと、この子たちに失礼だ。大切なのは真剣に生きることだと気づいた。
そう思ったら、その子たちの命がとても大切になってきた。自分が生きると決めたとたん、その子たちの命が大切に見えてきたんですね。
中川:
そこで出会った少女に、『あなたの夢は何ですか?』って聞いたら、『私の夢は大人になるまで生きることです』っていう答えが返ってきたと本には書かれていましたね。
世界中で、一日で4万人くらいの人が、貧しさのために亡くなっているそうですね。それもほとんど子どもでしょ。
大人になるまで生きるっていうのは、当然のことのように思ってしまうけど、ゴミの山で暮らしている子どもたちにとっては、大人になることが夢なんですね。
日本で暮らしていると想像もできないすさまじい世界ですよね。

<後略>

(2005年7月5日 SAS東京本社にて 構成 小原田泰久)

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