今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2017年1月 「マンリオ カデロ」さん

マンリオ カデロ(まんりお かでろ)さん

イタリアのシエナで生まれる。高校卒業後、パリのソルボンヌ大学に留学。フランス文学、諸外国後、語源学を習得。1975年に来日、ジャーナリストとしても活躍。1989年に駐日サンマリノ共和国の領事として任命される。2002年駐日サンマリノ共和国特命全権大使を任命され、2011年に、駐日大使全体の代表である「駐日外交団長」に就任。著書に「だから日本は世界から尊敬される」(小学館新書)最新刊(2016年11月発売)では「世界で一番他人(ひと)にやさしい国・日本」(加瀬英明先生との共著、祥伝社新書)などがある。

『神道の考え方、生き方が、世界を平和にし、環境を守る』

戦争はだれも勝たない。みんなが負ける。いいことはひとつもない

中川:
大使の「だから日本は世界から尊敬される」(小学館新書)を読ませていただいて、大使は日本が大好きで、日本や日本人をとても高く評価してくださっていることがうれしくて、ぜひ、お話をうかがいたいと思いました。
日本人は、どうしても、自分の国に対してネガティブなところに目が向きがちです。大使の本を読むと、「ああ、こういういいところがあったのだ」と、これまでとは違った目で自分の国を見ることができます。
カデロ:
ありがとうございます。少年時代、父の書斎に日本の歴史について書かれた本があって、それが日本への興味の始まりでした。パリの大学へ行ったのですが、そこで日本に関する本を読んだり、クラスメイトの日本人からいろいろと話を聞いて、日本は神秘的でとてもすばらしい国だと、興味が膨らんでいきました。
中川:
ところで、カデロ大使は、サンマリノ共和国の駐日大使でいらっしゃいますが、サンマリノという国について、少し、ご紹介していただけますか。
カデロ:
わかりました。サンマリノは、イタリアの中部、アドリア海側ですから、ローマの反対側に位置する世界で5番目に小さな国です。国は小さいですが、歴史は古くて、世界最古の共和国です。
面積は東京の世田谷区くらい(約62㎢)で、人口は約3万6000人。首都は、サンマリノ市です。
平和と自由を重んじる国で、軍隊をもっていないのが大きな特徴です。
サンマリノが誇っている特産物はワインです。その品質は国が保証しています。すごくおいしいので、会長も召し上がってください。私は、昼食のときから飲んでいますよ(笑)。
もともとは、農業、酪農、石切りが産業の中心でしたが、最近は、軽工業や観光の割合も大きくなってきています。
サンマリノ市の歴史地区とティターノ山は、ユネスコの世界文化遺産に登録されていて、世界各国からたくさんの観光客が来られています。
そんな説明でサンマリノがどういうところか、少しはイメージできますでしょうか。
中川:
ありがとうございます。美しい街並みと自然が浮かんできました。平和と自由を重んじるというのがいいですね。軍隊がないのですね。
カデロ:
今、世界のあちこちで戦争が行われています。私は、戦争をやっていいことなどひとつもないと思っています。
戦争はだれも勝たない。みんな負けです。
アメリカ人は、自分たちはイラク戦争で勝ったというけど、そんなの大間違いですよ。戦争をやっていた9年間、毎日400万ドル(土日祭日含めて)、日本円にして約4億円も使っています。そして、7500人ものアメリカ人の若者が亡くなっています。
それでは戦争に勝ったと言えません。勝つというのは、お金も使わないし、だれも死なないことです。
中川:
そんなにお金がかかっているのですね。もっと有効に使ってほしいですね。
カデロ:
戦争をやめれば貧乏人はいなくなります。一番お金がかかるのが武器。アメリカが武器の65%を製造しています。あとはロシアとか中国とか日本とかです。
武器を作るのをやめて、平和のためにお金は使うべきです。
世界204ヶ国のうち、軍隊がないのは27ヶ国です。とっても少ないです。でも、軍隊のない国々は、みんなハッピーです。お金を平和のために使っているから。
中川:
日本もそうなってくれるといいのですが。
カデロ:
日本も、ものすごく軍事費を使っていますよ。世界第8位。あれがなければ、国民がどれだけ豊かになるか。世界一住みやすい国になりますよ。みんなお金持ちになりますよ(笑)。
中川:
自国を防衛するために軍備をもとうという流れがありますが、私にはかえって、まわりを警戒させてしまって、関係が悪化するように思うのですが。
カデロ:
その通りですね。日本は、第二次世界大戦でもっともつらい思いをした国です。戦後に日本は、平和を強く望んできたことを、多くの人が知っています。なのに、軍事費を増大させていくと、日本が戦争の準備をしていると勘違いしてしまいます。
私は、あえて軍事費を削って、それを社会保障に回す勇気を持ってほしいと思います。日本はそれができる国だと思います。

<後略>

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