今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2014年11月 「田口 ランディ」さん

田口 ランディ(たぐち らんでぃ)さん

1959年東京生まれ。作家。2000年に初の長編小説「コンセント」でデビュー。2001年「できればムカつかずに生きたい」で第1回婦人公論文芸賞を授賞。近年は、福祉や医療、原発、水俣問題をはじめとする現代社会が抱える問題や宗教、精神、生死などをテーマに、小説やノンフィクションを執筆。著書に、「アンテナ」「モザイク」(新潮文庫)「富士山」「ドリームタイム」「被爆のマリア」(文春文庫)「キュア」(朝日文庫)「サンカーラ」(新潮社)「座禅ガール」(祥伝社)などがある。

『人間の奥底にある霊的なものはものすごく傷ついています』

兄が引きこもりの末にアパートの一室で餓死した

中川:
はじめまして。ランディさんとは初めてお会いするわけですが、ご著書を拝見していると、共通の知り合いがいたり、ランディさんの関心が、私ども真氣光が伝えようとしていることと重なっているところがあったりして、失礼ながら、すごく親しみを感じてしまいます。
ランディさんは、この月刊ハイゲンキに連載してくださっている帯津良一先生ともお知り合いだし、以前に対談に出ていただいた佐藤初女先生とも親しくされています。それに、「アルカナシカ」(角川学芸出版)という本には、無農薬リンゴの木村秋則さんも登場してきますしね。私も、木村さんとは2度対談させていただいています。リンゴ園にもおうかがいしましたし、私どものセンターに講演に来ていただいたこともあります。まだまだ木村さんがこんなにも有名じゃないときですけどね。
ランディさんは、UFOや霊的なことなど、見えない世界にも非常にお詳しいし、原発や原爆の問題にも触れておられますよね。
今日は、いろいろな話がお聞きできそうで、楽しみにして参りました。
田口:
こちらこそ、よろしくお願いします。木村さんですが、私は、彼の自然栽培塾に通っていたんですよ。石川県の能登までね。羽咋(はくい)市に高野誠鮮(じょうせん)さんという方がいます。彼は、もともと東京でUFO関係のテレビ番組を作っていたのですが、実家のお寺を継ぐために羽咋へ帰り、市長が高校の同級生だったこともあって、市役所に入って地域興しに貢献するようになった方です。NASAやロシアから宇宙船の現物を買い付けてきて、「宇宙科学博物館コスモアイル羽咋」を作りました。また、限界集落の復興なんかもやっています。
その高野さんが、羽咋で農協を巻き込んで自然栽培をしたいということで、木村さんを呼んで自然栽培塾を開催しました。これまでの常識だと、農協が自然栽培をするというのはあり得ないことですよ。高野さんから、その取材をしてみないかと誘われて、自然栽培塾に通うことになりました。
中川:
能登の自然栽培の動きと一緒に、木村さんのUFO体験を取材されたわけですね。自然栽培とUFOとどういうつながりがあるのか、とても興味深いですね。
ところで、ランディさんが、作家になり、見えない世界に興味をもたれたというのは、どういうことがきっかけだったのですか?
田口:
作家になるひとつのきっかけは、兄が引きこもりを20年くらいしていて、その兄が、最終的に引きこもりの末にアパートの一室で餓死をしたことですね。1995年ですから、世の中はとても豊かだし、引きこもった兄が何も食べずに亡くなったのは、私にとっては、大変な衝撃でした。
兄が引きこもりになった原因としては、父との関係がありました。父は、お酒を飲んだり、気に入らないことがあると、急に逆上して暴れたりする人でした。専門家に診断してもらえば、境界性人格障害という病名がつくかもしれません。
子どもたちは、なぜ怒られているのか、なぜ機嫌が悪いかわからないので、混乱するわけです。私は、兄よりも8つ年下で、父が年を取ってからの子どもだったし、女の子だったので父に殴られた記憶はありませんが、兄はよく暴力を振るわれていました。
そのせいか、兄は中学時代から内気で引っ込み思案で、就職しても転職を繰り返して、だんだんと家に引きこもるようになりました。
父は働き者でしたから、家でぶらぶらしている兄が許せなかったんですね。それでまたぶつかるわけです。今考えると、兄は怠け者だったということではなく、働こうにも働けなかったのだと思います。それこそ、氣がだだ漏れ状態でね。
中川:
そうですか。そのころランディさんは?
田口:
私は東京で広告関係のプロダクションを経営していました。私は、兄のような人はカウンセリングを受けさせる必要があると思い、説得して東京へ出て来させました。そして、私が仕事場にしていたアパートに住まわせました。それが1993年か4年ごろのことですね。
1995年は、1月には阪神淡路大震災があり、3月には地下鉄サリン事件がありました。世の中が揺れていて、自分も揺れていて、すごく嫌な年でしたね。
その6月、兄が突然、アパートから姿を消しました。お金もないのにどうしたのかなと思って家に電話をしたら、少し前に兄から父に連絡があって、今度こそ自立するからお金を貸してくれと言ってきたそうなんですね。ぜったいにお金は渡さないでねと言っておいたのに、父は100万円を、手切れ金だと言って渡したと言うのです。お金が手に入ったからどこかへ行ってしまったんですね。そのお金をもとに、部屋を借りて、アルバイトを探して、自分で生活できるようになればいいなと思っていましたが、8月1日、アパートの一室で餓死しているのが発見されたという連絡が入りました。

<後略>

(2014年9月18日 神奈川県足柄下町湯河原町の田口ランディさんの仕事場にて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

「座禅ガール」 田口ランディ 著 (祥伝社)

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