今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2014年9月 「やました ひでこ」さん

やました ひでこ(やました ひでこ)さん

東京都出身。早稲田大学卒。学生時代に出あった沖ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を、日常の「片づけ」に落とし込み応用提唱、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。全国各地でセミナー、講演をするほか、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等、さまざまなメディアでも精力的に発信をしている。著書は、「断捨離」「俯瞰力」「自在力」(ともにマガジンハウス)「伝説のヨガマスターが教えてくれた究極の生きる智慧」(龍村修先生との共著 PHP)「捨てる勇気」(大和出版)など多数、ミリオンセラー作家でもある。

『断捨離で、心地よい快適な氣の環境を演出する』

タンスに着ない洋服がたくさんあるという話にはっとした

中川:
やましたさんが出された「断捨離」という本が大ベストセラーになって、家を片づけることの大切さがずいぶんと浸透したと思います。でも、断捨離は、もともとはヨガで言われてきたものだそうですね。やましたさんは、ヨガを長くやっておられたし、驚くことに、真氣光の研修講座が下田の沖ヨガ道場で行われていたとき、参加されたそうですね。調べてみたのですが、やましたさんが参加されたのは92年でしたね。
やました:
それくらいになるかもしれませんね。あのときに連れて行った小学生の子どもが30歳になりましたから。私は、もともと沖ヨガを学んでいて、下田の道場は何度も行ったところです。そこで氣の合宿が行われているのを知り、懐かしさもあり、とても興味があったので参加させていただきました。
中川:
実は、私も92 年に受講しています。そのころは電機会社のサラリーマンで、ストレスで体調を崩したので参加してみました。
やました:
汚い道場でびっくりしたのではないですか? 私は、ヨガの研修に行くたびに、龍村先生にもきれいにした方がいいですよと言っていたくらいですから(笑)。
中川:
せんべい布団でしたしね(笑)。
やました:
はい。私は慣れていたからいいけど、初めての人は氣どころではなかったかもしれませんね(笑)。
中川:
道場が汚かったのと、断捨離とは関係あるんですか?
やました:
あるようなないような(笑)。断捨離というのは、ヨガの行である「断行」「捨行」「離行」からくるもので、断行=執着を断つ、捨行=執着捨てる、離行=執着から離れる、ということです。私は大学4年のときに沖ヨガに出あって、以来、ずっとヨガをやっていますが、自分には、執着を断つことも捨てることも離れることもとても無理だと思って、しばらくは、なるべく考えないようにしていました。
断捨離についてはっと思ったのは、沖正弘先生が亡くなって、お葬式から帰るときでした。沖ヨガの先輩と一緒に帰ったのですが、そのときに、断行、捨行、離行の話になって、私にはできませんよという話をしたのを覚えています。何しろ、執着だらけですから。
そのときに、先輩の先生が、家のタンスの中も着ない服でいっぱいだものと言われてハッとしました。女性は、着る服がないとよく言いますが、タンスの中を見ると、たくさんの服がしまってあります。それでも、心の中ではないと思っている。つまり、それは、着る服がないのではなく、「着たい服」がないということです。逆に言うなら、「着たくない服」がいっぱいあるわけです。どうして着たくない服がたくさんあるのだろうか。
そんな疑問が頭から消えませんでした。だれかにもらったとか、いつか着るだろうとか、そんな理由で、好きでもない、着ることもない服がたくさん眠っているのです。関係が終わっているのに元カレや元カノにずっと未練をもっているようなものです。
心の中の執着というのは、目に見えなくてつかみどころがないけど、こんなところに証拠品があるじゃないかという発見があったのです。そこから、断捨離と片づけがつながっていきました。
中川:
沖ヨガは生活ヨガとも言われています。道場で習ったことは生活の中で役立てていくという教えですよね。やましたさんの場合は、断捨離を片付けという形で生活の中に取り入れたわけですね。
やました:
でも、時間はかかりましたね。まずは、断行、捨行、離行のことは知っていたけれど、知識として知っていただけだったのだということに気づきました。それを生活の中で実践しようとすれば大変なことになるので、無意識に封印していたのだと思います。10年20年と右往左往してきて、30年たってやっと人に伝えられるようになったかなということでしょうか。
中川:
頭ではわかっていてもそれを実践するとなると、なかなか大変ですよ。私なんかも、長く真氣光をやっていますが、頭ではわかっているんだけどという部分は、まだまだ多いですよ。知識を一つひとつ、生活の中に落とし込んでいくのが修行ですね。知識のまま終わらせてしまうと、わかったつもりになっているだけで、魂が成長していきません。私どもは、やましたさんが参加してくださった研修講座を、今もずっと続けていますが、そこで学んだことを日常の中にどう生かしていけるかが大切なんだと、いつもお話させてもらっています。
やました:
学校で言えば、部活動と同じだって私は言っています。テニス部なら、知識としてラケットの振り方を習ったら、次は実際にコートに出て振ってみないことには、テニスはうまくなりません。できるできないではなく、やるしかないんですね。やらないことには本当のトレーニングになりません。

<後略>

(2014年7月10日 東京日比谷松本楼にて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

「捨てる勇気! あなたの日常にも新陳代謝を」 やましたひでこ 著 大和出版

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