今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2022年4月「ウォン・ウィンツァン」さん

ウォン・ウィンツァン(うぉんうぃんつぁん)さん

1949年神戸生まれ。19歳でプロとしてジャズやソウルを演奏。87年、瞑想の体験を通して自己の音楽の在り方を確信し、90年にピアノソロ活動開始。サトワミュージックを設立し「フレグランス」をはじめ30作近くのCDをリリース。NHK「目撃!にっぽん」Eテレ「こころの時代」テーマでも知られる。YouTubeではピアノソロ動画が160万回再生突破。

『音楽で自分らしく生きるためのスイッチをオンにする』

コロナがきっかけでYouTubeでの発信が柱になった

中川:
ご無沙汰しています。前回の対談がいつごろだったか調べてみたら、1999年でした。もう23年も前のことなんですね。 実は、私ども真氣光の会員さんで本の編集のお仕事をされている尾崎靖さんから、ウォンさんと親しくしているというお話をお聞きし、その後どうされているかと思って、対談をお願いした次第です。今日はよろしくお願いします。
ウォン:
もう23年もたっていますか。ぼくも会長と再会できてうれしいです。 尾崎さんとは、阿蘇で自然農をやっている野中元(はじめ)さんという共通の友だちがいて知り合いました。野中さんは農家でありながら、カメラマンとしても活躍していますが、ぼくが彼の家にライカのいいカメラを忘れていったことがきっかけでカメラマンになったというのですから面白いでしょ。当時、ぼくは写真に凝っていました。 ちょうど、会長と対談したころじゃないかな。
中川:
そうでしたか。人と人との縁は本当に面白いし、縁によって進む道が決まったりしますからね。 前回は、ウォンさんが音楽家になる経緯とか瞑想で大きく変化した話などお聞きしました。あれから23年。いろいろなことがありました。 特に、2011年の東日本大震災。それにここ2年ほどのコロナ禍。活動にも影響があったし、考えることもおありだったと思いますが。
ウォン:
東日本大震災と原発事故には日本中がショックを受けたと思います。日本全体が追い詰められた感じになっていて、こんなとき自分にできることは何だろうかと考えました。 息子にも相談して、インターネットでライブ配信をすることにしました。 ほぼ毎日、50日間配信しました。ぼくにとっては修行のような毎日でしたが、すごくたくさんの人が喜んでくださって、やって良かったと思いました。 チャリティコンサートも企画しました。500人以上の大きな会場でしたが、すぐに満員になり、義援金もたくさん集まりました。
中川:
あのときは、日本全体が一致団結していましたよね。
ウォン:
すべての日本人が不安や危機感をもっていて、それが一体感を生み出したのだと思いますね。

中川:
今回のコロナ禍ではどうでしょうか。YouTubeではずいぶんとたくさんの方がウォンさんの演奏を聴いているようですが。
ウォン:
2019年まではすごい勢いでコンサートをやっていました。2020年に入ってからコロナが広がり始めたために自粛ムードが出てきて、雲行きが変わってきました。2~3年は動きがとれないのではないかという予感があって、YouTube配信に方向展開することにしました。 音楽活動の柱を、コンサートとCDからYouTubeに移す大きなきっかけがコロナでした。 前々からオンラインを活動拠点にしたいと思っていたので、これだけはコロナのおかげです。
中川:
コロナがオンラインでのコミュニケーションを確立させた感がありますね。私も、オンラインでセミナーやセッションをすることが多くなりました。 だけど、ミュージシャンの方にとっては、YouTubeで聴けるとなるとCDが売れませんから収益という面では厳しいのではないでしょうか。コロナのせいで音楽が衰退してしまっては大変です。
ウォン:
YouTube配信では確かに収益にはなりませんね(笑)。 だけど、まずは聴いてもらわないと話にならないですからね。聴いてもらうための手段としてはYouTubeはいいと思います。 コンサートではある一定の人にしか聴いてもらえないし、遠い人はなかなか会場まで来ることができません。 YouTubeだと全国で聴けます。160万人とか170万人が見てくれるのもありますからすごいと思いますよ。 YouTubeを始めてからいろいろな意味で広がりは出てきています。何しろ顔が出ますから、街を歩いているとウォンさんじゃないですかと声をかけられたりすることもありました。サウナやクリニックでもYouTubeが縁で友だちができました(笑)。



中川:
なるほど。聴衆との距離がものすごく縮まりましたね。

ウォン:
ミュージシャンがオンライン化するのは難しいのではないでしょうか。でも、ぼくの場合はスタジオがあるし、機材もあるし、息子の助けがあって、恵まれています。それに、スタッフがオンラインで広げていくノウハウをしっかり勉強してくれました。スタッフの2人はネットでの配信が得意なので助かっています。 音はCDで聴けるくらいのレベルにはしています。映像もカメラ4台を使っていいのを撮っていますよ。 先ほど言いましたが、写真が趣味だったので、いいレンズがたくさんあって、それが使えるんですね。 YouTubeの広がりで音楽が映像ありきになってきました。音楽よりも映像の制作費の方が高いということも起こってきていますね。

<後略>

東京・新宿区のサトワミュージックにて 構成/小原田泰久

童謡 Doh Yoh vol.1

ウォン・ウィンツァン
サトワミュージック

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