2007年1月 「林 雲」さん
- 雲(りん うん)さん
チベット密宗最古の宗派ボン教黒派の法王。両親は台湾の人で16歳のときに台湾に帰る。台湾大学で法律を文化大学で市政を学ぶと同時に、仏教以前から伝わる密宗ボン教を解読、気学・風水・易経など多岐にわたって研究し、従来のものに独自の解釈を加え、「林雲学」を打ち立てる。新しい風水と気についての講演を大学のセミナーをはじめ世界各地で行っている。また、世界有数の建築物や多くの大きなビルなどに対して設計段階でアドバイスを行っている。在米30数年で、サンフランシスコ大学、スタンフォード大学の客員教授を務め、国連やハーバード大学でも毎年講演を行う。カリフォルニアなどに五つの雲林禅寺を創立。現在ニューヨーク在住。著書に「Master Lin Yun's Feng Design」など。
『『チベット密宗ボン教の法王が説かれる、「風水は氣」』
「目の見えない人が大きな象を触ったら」の話
- 中川:
- 今日は、皆さんお忙しい中を有難うございます。今は夜の9時を回ろうとしていますが、8時まで大阪で龍村修先生主催の林雲先生の講演会があったそうですね。私もちょうど大阪で「真氣光セッション」をしておりましたので、こうしてお会い出来て、幸運でした。
龍村先生は、「真氣光研修講座」開催当初からずっと専任講師をしてくださっていますが、龍村先生のお姉さんの龍村和子さんから、先生のご紹介をいただきました。和子さんは、もう10年以上、毎年アメリカでの「真氣光&沖ヨガ セミナー」を主催していただいています。 - 龍村和子:
- 渡米して45年になります。ニューヨークで真氣光やヨガの教室を持っていて、またハイゲンキを取り入れた治療もしています。林先生は数年前に私の所にいらして、それ以来、ずっと親しくさせていただいています。先生は多岐にわたってご活躍なさっておられますが、ハイゲンキを当てると疲れないと喜んでおられるんですよ。私は3年前から、林先生の「風水」を学んでいますが、とても楽しくて勉強になります。
- 龍村 修:
- 今回、林先生が高野山大学での国際密教学術大会のために来日されると和子姉から聞き、めったにない機会ですので、是非、私が大阪で行っているヨガのクラスの方達や一般の方々にもお話をしていただきたいと思い、お願いしたのですが、その講演会が今日だったのです。
そしてまた、一昨年ニューヨークで中川会長と一緒に林先生とお目にかかったときはゆっくりお話しできる時間がなかったので、今回は是非、中川会長に会っていただきたかったのです。 - 林:
- そうですか。中川さんは、随分お若いんですね(笑)。
- 中川:
- ボン教の大変に偉い方でいらっしゃるそうですが、ちょっとご紹介いただけますか。
- 龍村和子:
- ボン教というのは、仏教が入ってくる以前のチベット密教で、経典も割合に整理されている白派がありますが、先生はもっとも古い黒派の流れを受け継いでいます。そして、チベット仏教第四段階の教えであり、世俗を持って道場としているんですね。つまり、日常生活における学業、職業、健康など、人や家族の向上を図る、生活即修行とする教えをもって、氣の風水原理と宗教の実践を融合して、真義を分かりやすく教えてくださるのです。
- 龍村 修:
- 林先生は、幼い頃からお父様から四書五経などをはじめ国学の基礎を習い、6歳のときに大徳法師に認められてからは密教の手印・呪語・禮仏など色々と学ばれ、16歳で台湾に帰り、その後、大学で法律系や市政系を学び、仏教を学修しました――そういうことが、もうすぐ発行される「『気』と風水」という本に書かれています。
この本は、林雲先生について日本語で書かれたものとしては最初のものです。著者は、林先生のお弟子さんで花園大学や高野山大学で学ばれた鄭貴霞さんという方です。その本によると、林先生に大きな影響を与えた師は別に3人いらして、その一人からは密宗ボン教の「気学」「風水」「密医密術」と「発命改運」の密法を、もう一人からはボン教の密法・「易経」・金石・書法・詩詞を、さらにもう一人の師からは四書五経・詩詞を学ばれたということです。そして、先生は独自の解釈で「林雲学」というものを作り上げて、お伝えしているのです。 - 林:
- 「氣」は何であるか、人間が動くのはどうしてでしょう。科学者は説明が出来ます。「骨、神経、筋肉に脳からメッセージが伝えられて動くのだ」というように。もちろん、科学や医学のお蔭でいろいろなことが分かってきました。でも、世の中は日々刻々と変化しています。科学の分野でも違う解釈もあるし、とても早いスピードで変化もしています。
例えば、「目の見えない人が大きな象を触ったら」という話をご存じですか。触った部分が、耳だったら、鼻、足、背中…だったら、そのような各部分を全体だと思ってしまうこともあるかもしれないでしょう。そのように、主張は各人違っていて科学者がある説を唱えても、それが正しいとは限らないのです。
人間が動くのは、氣があるからですが、氣は生まれるときに出て、死んだときに無くなるのではないのです。亡くなるときには、氣は宇宙に還るのであって無くなりはしません。氣のコンディションがいろいろありますが、そのバランスをとるのが大事で、私のお伝えする風水がそれの手助けになるでしょう。 - 龍村 修:
- 日本の「北枕は良くない」ということなども、風水という範疇にあるのですか。
- 林:
- 日本に伝わっているのは、東西南北の方角を重視するコンパス派といわれている中国の風水ですが、方角は考えなくても良いのです。「風水」は、その昔、大変土地の澄んだ美しく氣の流れの良い土地で生まれました。でも、今はたくさんの遮蔽物が建てられ、人の数はものすごく増え、全く環境そのものが変化してしまっています。ですから、その土地、その家、その部屋によって、全部違っていて、一概に「北枕」はどうのということは意味がありません。重要なのは入り口です。そこから氣が入ってきてどのように巡るかということですね。
ベッドに寝るときにお腹の上に天井の梁があると圧迫感があって良くないとか、ベッドに寝たときの頭と壁を隔てて便器があるというのも良くない、そういうことはあります。部屋を開けたときに、デスクやベッドなどの重要なものはみんなすぐに見える場所に置かれているのがいいですね。土地、家、部屋の形に意味があります。 - 中川:
- 氣がいつも滞ることなく、巡っていることが大事ですね。
- 林:
- そうです、それが私の言う風水なのです。建物もそうですが、人も同じです。全体に氣が巡っていて、ちゃんと頭にも氣が行っている人は、知恵があります。また、人それぞれの氣があります。氣の性格が人に出るともいえます。
例えば、「ハリネズミの氣」の人は、何を言われても批判的にとらえます。その人が上司であったらどうでしょう。部下が10分遅刻したら、「何で遅れた!」と怒ります。次の日、部下が10分早く来たら、「何で、そんなに早く来る必要があるのか」と、やはり怒ります。シャープな針で何でも周りをつっつく、そんな氣ですね。
「竹筒の氣」の人は、「はい」と返事はいいですが、何も聞いていない。まるで耳が無いかのように聞いていない、そういう人です。また、人の助けをしたいという気持ちがあるのだけど、ちっとも頭に氣が入っていない人は、何か言いたそうだけど言えない、やりたそうだけどやれない、というタイプですね。言えないから、急に頭の方にウワァと血が行ってしまう。
そういうことの解決策を探していくのが人生の風水です。お金が欲しい、地位が欲しい、自分の好きなこともしたい…という人は、いろんな方向にポンポンとエネルギーが外に出て行ってしまって、氣が保てない。そういう人は、氣を一つにまとめるために、呼吸法とか瞑想とかが必要です。 - 中川:
- そうすると、林先生の風水は、心の問題が重要だと教えておられるということでしょうか。
- 林:
- 心はとても大事です。考え方を前向きにすること、自分の気持ちをいい方向に変えていくこと、それはとても大切なことです。
様々な環境で人々が幸せに生きていくために、風水を取り入れると大きな助けになるのですが、そのときに、自分の祈りを頭の中で映像化することが大切です。問題のある子供に困っているとき、部屋に植物を置いて、明るい顔でニコニコ笑って機嫌のいい子供の姿をリアルに思い描くのです。ご主人が外で遊んでいてなかなか帰って来てくれないときも、目で見るように、元気で帰って来てくれたのね、嬉しいわ!という映像を思い描くと、ご主人は遊んでいてもサッサと遊びを切り上げて何だか帰りたくなってしまうのです(笑)。 - 龍村和子:
- 林先生のこういうお話をうかがっていて、中川会長のおっしゃることと似ているな、同じことじゃないのと思ったのです(笑)。日本で一般的に風水といわれているものは、方角が重要だとされていますが、林先生は、方角にとらわれずに精神的なものを重要視され、目に見えない世界が関係しているとおっしゃるのです。そして、その解決法を教えてくださるのです。
- 林:
- 方角が悪いから、引越しなさいとか、家を壊してしまいなさいということではなく、入るものを清めて、いい氣を取り入れ、邪気を取り除くことが大事です。色と光で整えたりします。キラキラ輝いているクリスタルや、水のキラキラしている中で金魚が泳いでいるガラス鉢、澄んだ音色の空気を振動させる風鈴などを置くこともいいでしょう。部屋の植物や庭の木は、枯れてしまったものは片付けて、気持ちの良い環境を作る、そういう方法はたくさんあります。
- 中川:
- 自分の内部の氣、そして、環境、つまり外部の氣を整えて、常に循環させていくということの大切さですね。
<後略>
(2006年9月9日 大阪にて 構成 須田玲子)