許せる寛大な心

 早いもので4月に入り、新年度がスタートしました。
電車の中で、新社会人だと思われる若い人が、先輩に連れられている姿を目にしました。
今年も、まだまだコロナウイルスの影響を受けています。
このような時に新しい生活に突入するのは、それでなくてもストレスになるところですから、よりいっそう頑張って欲しいものです。
 私は、サラリーマン時代に研究開発の仕事をやっていました。
上司は、仕事に対しては厳しい人で、入社してから30才近くまで、雑巾を絞るように鍛えられっ放しでしたが、今思えばあの上司が居なかったら私はどうなっていたのかといつも思い出します。
 簡単に言えば私の仕事は、あるモノの性能を上げるために「こうやったら良いかもしれない」と仮定して試作し、「実際にそうなるかどうか」実験して確かめてみる。
さらにダメなところの対策を考え→実験→評価このサイクルを繰り返すことでした。
 私は、上司の言うことよりも、自分で考えて、やりたいタイプでした。
実験で確かめるのに何日もかかりますから、最初の考えを間違って一週間を棒に振り、「何やってんだ!!」とフロア中に響く大声で怒鳴られたことが何回もあります。
最初は気落ちして、言われた通りにやるのですが、だんだんそれでは面白くなくなり、自分の考えを確かめたくなるのです。
やるとまた失敗して怒鳴られる…、次第に上司の言うことは早めに終わらせ、私の考えたことを副業のようにやるようになりました。
後でわかったのですが、上司は黙って見逃してくれていたのです。
 「失敗したから、もうやらない」では、何の成長もありません。
どんどんやって、練習を積み重ねないと決してうまくはいかないものです。
ですから、失敗したら反省も大事ですが、次にどう生かせるか、それを理解できたら、もう悔やまないことです。
 ある時わかったことには、それができるのも周りの人の「失敗を許してくれる寛大な心」のおかげでした。
上司も私にかなりの時間を割いてくれていたので、成長のための練習ができたというわけです。
かけがえのないものをいただいたのですが、お返しをしようにも、今となっては、もうどうにもなりません。
せめて自分も同じように見習わせていただくことだと、心している次第です。
 追記:4月より、FM西東京でのラジオ番組契約を終了し、新たにエス・エー・エス独自のPodcast「中川雅仁のい氣い氣ラジオ」として再スタートします。
西東京市への公共の電波にはのりませんが、全国の皆さんには、これまで通りの配信という方法で(接続先は変わります)、いつでも聞くことができますので引き続き利用していただきたいと思います。