ひとくち歳時記「福茶」

立春から始まる新しい年に初めて汲んだ水を若水(わかみず)と言って、健康や豊作、幸せを招く水とされています。
まず神棚にお供えをし、それから食事の支度や洗顔に使います。
その若水で淹れたお茶が福茶です。
煎茶やほうじ茶に、結び昆布や小梅などを入れたものです。
現代の家庭では井戸水など自然の水を汲むことは珍しいことですので、水道水でも若水として福茶を淹れるのも一興です。
(本社 加藤)

ひとくち歳時記「紅葉狩り」

 秋祭りの頃には、山々も美しく色づきます。
「紅葉狩り(もみじがり)」は野山に出かけ、紅葉を見て楽しむこと。
日本では古く万葉の時代から、桜の季節に花見をするように、秋には紅葉を楽しむ習慣があります。
紅葉狩りの「狩り」は、もともとは鳥や動物を捕まえる意味でしたが、狩猟をしない貴族の世になってからは、草花を眺め自然を愛でることを、狩りに例えるようになったと言われています。
「カエデ」の名前の由来は、カエデの葉が、蛙(かえる)の手に似ていることから「カエルデ」と呼ばれ、「カエデ」になったと言われています。
美しい紅葉になる気象条件は、夏は暑く、充分な日照りと雨量があり、秋は昼夜の気温差が大きく、晴天が続き地中の水分が少なくなることです。
低地より山間部の方がこれらの条件が揃いやすく紅葉が美しくなりますが、集中豪雨が多い今年は果たしてどうなるでしょうか。
(本社 加藤)
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ひとくち歳時記「ほおずき市」

 7月9日と10日は東京浅草寺の「四万六千日」の縁日にあたり、境内には「ほおずき市」が立ちます。
「ほおずき市」は東京入谷真源寺の「朝顔市」とともに東京の夏の風物詩になっています。
平安時代末期に阿弥陀信仰や観音信仰などの縁日が決められ、その日にお参りするようになりました。
観音信仰は7月9日か10日に参拝すると四万六千日お参りしたのと同じご利益があると言われたため信者が集まるようになり、やがて市が立つようになりました。
ほおずきは漢方では別名「灯籠草」とも呼ばれ、根を煎じて飲むと、咳止めや利尿に効果があります。
(本社 加藤)
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ひとくち歳時記「鵜飼い」

 「鵜飼い(うかい)」は、鵜を使ってアユなどを獲る漁法で、「古事記」や「日本書紀」にも記載が残っています。
現在では、漁業というより、観光ショーとして行われている場合が多いようです。
千三百年の古い歴史があるという長良川の鵜飼い開きの日は、5月11日です。
夜の川に、かがり火を舟首に焚いた鵜舟が何艘も現われ、舟上にいる鵜匠の巧みな手縄さばきで十羽から十二羽の鵜を従えます。
かがり火は照明のほかにアユを驚かせる役割を担っています。
かがり火の光に驚き、動きが活発になったアユは、鱗(うろこ)がかがり火の光に反射することで鵜に捕えられます。
鵜ののどには紐が巻かれており、ある大きさ以上のアユは完全に飲み込むことができなくなっており、鵜匠はそれを吐き出させて漁獲とします。
(本社 加藤)
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ひとくち歳時記「八十八夜」

 立春から数えて八十八日目(今年は5月2日)の夜を「八十八夜(はちじゅうはちや)」と言います。
米という文字は、八と十と八を重ねてできあがることから、縁起のいい農の吉日とされています。
茶摘みの季節でもあり、八十八夜に摘んだ茶葉は長寿の薬とも言われました。
一番茶は、お茶の木が一年を通して肥料や養分を吸収しているため、テアニンなどのうまみ成分をたっぷり含み、香り高く味も一番おいしいとされています。
八十八夜に摘み取られた葉を炒って飲むと、「中風にならない」とか「不老長寿で縁起が良い」と言われています。
お茶は、奈良時代に遣唐使により最澄・空海が持ち帰り、最初の頃は、貴重な薬として飲まれていました。
鎌倉時代に『喫茶養生記』を著した臨済宗の開祖栄西禅師が、「茶は養生の仙薬なり・・・」とお茶を栽培し飲む習慣を紹介しました。
そして茶道などが広まり定着したのが日本茶の歴史の始まりです。
近年、ペットボトルのお茶が大ブームとなっています。
その理由は、茶葉の量が少ないので渋みや苦みが少なくて、さっぱりとした後味の良さとお手軽さが新しいお茶として大衆に受けたと考えられています。
(本社 加藤)
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ひとくち歳時記「さくら開花前線」

 今年の冬は、寒気が日本付近に流れ込みやすく、寒い日が続きました。
桜は一定期間寒さにさらされることが刺激となるため、寒さにより休眠打破は順調に進み、花芽は成長しやすい状態となりますが、花芽の成長が進む1月下旬以降から2月にかけて非常に厳しい寒さとなっため、花芽の成長は2月末時点ではやや遅れ気味でした。
しかし、3月に入ってかなり暖かい日が多くなったため、2月の遅れを取り戻す形で、平年より早い開花となりつつあります。
ちなみに東京は3月17日に開花しました(靖国神社)。
今週末はお花見日和となりそうです。
(本社 加藤)
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ひとくち歳時記「風花」

 「風花(かざはな、かざばな)」は、晴天時に雪が風に舞うようにちらちらと降ることです。
あるいは山などに降り積もった雪が風によって飛ばされ、小雪がちらつく現象のことです。
からっ風で有名な静岡県や群馬県でよく見られます。
冬型の気圧配置が強まり、大陸から日本列島に寒気が押し寄せてくると日本海側で雪が降りますが、その雪雲の一部が日本列島の中央にある山脈を越え、太平洋側に流れ込んできたときに風花が見られます。
(本社 加藤)
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ひとくち歳時記「事八日・針供養」

12月8日は、農作業を終えることから「事納め(ことおさめ)」または「事八日(ことようか)」と言います。
「事八日」は物忌みの日で、何事も控えた方が良い日とされました。
そのため「事八日」は針仕事を休んで、折れた針を供養する「針供養の日」となりました。
一年間使って折れた針をコンニャクや豆腐などの柔らかいものに刺して感謝の気持ちをもって神社に奉納し、裁縫の上達を祈願していました。
ミシンがなかった頃は、針はとても重要な役割を果たしていて大切にされていました。
また、江戸時代には、「事八日」に小豆や里芋、人参やコンニャクなどを入れた「御事汁(ごじる)」を食べたと言われています。
(本社 加藤)
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ひとくち歳時記「七五三」

 11月15日は「七五三(しちごさん)」で、子どもの成長を祝うため、子供に晴れ着を着せて神社などに詣でる日です。
男児は3歳と5歳に、女児は3歳と7歳に行います。
昔は幼児の死亡率が高く、「7歳までは神の子」と言われ、7歳になって初めて人間の世界に参加するという考え方があったようです。
江戸三代将軍家光が、後の五代将軍綱吉が幼い頃に病弱だったのを心配して無事に成長するようにと「袴着の儀式」を行ったのが11月15日だったのが起源と言われています。
七五三につきものの千歳飴は、江戸時代に浅草で平野甚右衛門という飴屋が売り出したのが始まりと言われています。
また童謡の「とおりゃんせ」は、無事に7歳になった子どものお祝いに、天神様にお札を納めにお参りに行くということを唄ったものです。
(本社 加藤)
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ひとくち歳時記「恵比須講」

 10月20日は「恵比須講(えびすこう)」で、商売繁盛の神様である恵比須神を祭る行事です。
10月は日本中の神様が出雲大社に集うので神無月(かんなづき)と呼ばれていますが、恵比須神は出雲に行かない留守神様として祭られています。
恵比須神は、もともと漁業航海の神として信仰されていましたが、室町時代から商売繁盛の神として信仰されるようになりました。
商家では、床の間に恵比須・大黒の掛け軸をかけ、鯛やお神酒、柿や栗などを供えて、商売繁盛や家族繁栄を祈願します。
(本社 加藤)
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