ひとくち歳時記「お花見」

 今やお花見と言えば、ソメイヨシノがほとんどですが、実は比較的新しい品種で江戸時代にエドヒガン桜とオオシマ桜の交配でつくられたものです。
それ以前は桜と言えば、山あいにほんのりと咲く山桜のことでした。
花は一重で紅を帯びています。
吉野山の山桜が特に有名で和歌に多く詠まれました。
ソメイヨシノは、日本全国に広く見られる樹木となり、春の一時期にある地域で一斉に咲き競い、わずか2週間足らずで散るため、日本人の季節感を形成する重要な風物となりました。
可憐な花の美しさが開花期間の短さ、散り際の豪華さによりいっそう印象づけられ、しばしば人の命の儚(はかな)さになぞられてきました。
そして古来より、桜は人を狂わせるとも言われてきました。
お花見の席では持参の花見弁当を楽しむのが 伝統的です。
また花を見ながら飲む酒は風流に花見酒と呼ばれますが、陰陽道では、桜の陰と宴会の陽が対になっていると解釈されています。
歴史的にお花見で有名なのが、豊臣秀吉が催した「醍醐の花見」で約1,300人を従え、豪華絢爛なしつらえと歌や踊りの派手なものでした。
しかし、「花より団子」という人も多いことでしょう。
(本社 加藤)
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