「秋の夜長を楽しむ」そんな季節になってきました。週末に各地を回って、帰りの電車などでホッと一息付く時に、ジャズが無性に聞きたくなって、携帯型ミュージックプレーヤから選ぶ曲があります。ビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビイ」と言うライブ録音のCDです。ジャズばかりではなくクラシックやロックなどでも、コンサート会場での音の響きが入っていて、演奏している音楽と溶け合わさって、聞く者を一瞬にしてその場の空間に連れ出してくれるようなライブ録音の名盤があります。そのようなものは、その場の雰囲気という氣も一緒に録音されているのではないかと私は思っています。ビル・エヴァンスは生涯に約130枚のアルバムをリリースしていますが、「ワルツ・フォー・デビイ」はいつでもベスト5に入るほどの名作ではないでしょうか。私が生まれた年と同じ1961年の6月に、ニューヨークのヴィレッジヴァンガードで録音されたライブアルバムです。彼の曲はどれも美しく心を奪われますが、このライブアルバムの凄いところは、客の拍手ばかりではなく、演奏中の客同士のお喋りや笑い声、グラスや皿のガチャガチャ音などが入っていて、聞いていると、まるでジャズクラブに居るような錯覚に陥るところです。まさしくジャズクラブの「氣」が録音されているのです。もう久しくそのような所には行っていませんが、疲れた身体を電車の中の仮想ジャズクラブで解放させたいという欲求が、私にはあるのかもしれません。高校から大学時代、私はポップス、ロック、クラシック、ジャズなど、いろいろな音楽を聞きました。それぞれのジャンルに一人は詳しい友人がいて、彼らから影響を受けて聞いていたという感じですから、それぞれに詳しいわけではなく、どちらかというと幅広くというところでしょうか。昔は借りたレコード盤を小脇に抱えて、よくあちらこちらの友人の家に通ったものです。特にジャズは、高校時代一緒だったT君の影響を受けています。彼は高校に入ってからジャズピアノに魅了され、それから初めてピアノに触れ、独学でジャズピアノをマスターして、今はプロとして活躍しています。高校の同窓会の情報を漏れ聞くところによると、最近札幌の眼鏡屋さんのCMにも出演していたとか・・・。ススキノのライブハウスでも活躍の様子です。昔の懐かしい思い出とともに、部屋でゆっくり音楽に浸る、そんな時間もいいなぁと思う、この頃です。