(45)耐えてこそ武士の妻(1)

天皇家に40 年以上男の子が生まれていないということで、今年に入って皇位継承問題がテレビや国会でも議論されていました。天皇家ばかりでなく、昔から家を継ぐということでは、その蔭にたくさんの人々の辛さや悲しさがあったことでしょう。特に武士の社会では、家を維持・繁栄させるということが一番の大きな課題だったようです。今のように安定した社会ではありません。男も女もそれぞれの置かれた立場で、その時々を一生懸命に生きたことでしょう。今回は、そんな事を垣間見ることができる、武将の妻だった一人の魂さんのお話です。私 が氣を送っていると、ある女性が苦しそうに顔を歪めながら話し始めたのです。「耐えてこそ、耐えてこそ武士の妻。妻たる者、決して弱みを見せたり、泣き言を口にしてはなりませぬ。」私はすぐに、これは氣を受けている本人ではなく、その人の口を借りて出てきた女性の魂だとわかりました。どうも武士の家で、相当厳しい教育を受けているようです。私は、彼女が苦しそうなので、どこか身体が悪いのかと思い、いろいろと尋ねて見たのですが、「決して弱音を吐いてはいけない。苦しいと言ってはいけない。しょせん女の身、たわごとを殿方に聞かせてはならない。強く耐え抜くのが武士の妻の勤め。」と、自分自身に言い聞かせるように繰り返すのです。私は少しでも何か話せれば、光が入りやすくなり楽になれるだろうと思い「何かに耐えて、辛かったのですか」と聞いてみたのです。彼女は「耐えることなど、私には何も辛くはなかった。」と言います。私は、どういう事なのかよくわからず、ただただ氣を送るしかありませんでした。やがて少しずつ氣が届いたのでしょう。「私は子供を宿すことができなかった。唯一の女の勤めを果たせなかった。耐える事など何でもないこと。子供を産み育てることができなかった。家を守り、次の世代に繋げる事なくして、武士の妻の勤めを果たしたとは言えぬ。」苦渋に満ちた顔で、静かに話すのです。「さりとて男のように戦をするわけにもいかず。私に何ができたのでしょうか。武士の家に生まれ、武士の家に嫁ぎ、唯一のお役目も果たせず、私の人生は何であったのか?申し訳ない。申し訳ない。」私も何と声をかけたら良いかわからず、氣を送ることしかできませんでした。すると「殿方に決してこのような事を聞かせてはいけない。そして、言ってはいけない。このような事を口にした事を恥じております。後悔しております。このまま人知れずいられれば…。」真氣光の光が自然に彼女の心を開かせたのです。 <次週に続く>