(63)上り一日下り一時(いっとき)

 私は、きょうは東京湾に掛かっているレインボーブリッジを眺めながら、この原稿を書いています。
ここまでは、自転車で来ました。
電車の乗り継ぎが不便なところに行くときや、散歩感覚でゆっくりしたいときには、よく自転車に乗っています。
都内は、けっこう坂があり、出来るだけ高低差の無い道を選ぶのがコツです。
そうは言っても、我が家の脇には川が流れており、昔ならV字の谷にあたるところなので、川沿いには動きやすいのですが、川に交わる道路を使うときにはどちら側も上り坂になっていて息が切れるというものです。
一生懸命ペダルを踏んで苦労して上ると、その先は、ペダルを踏まずともあっという間で、涼しい風に心地良さが染み渡ります。
 ところで「上り一日下り一時」ということわざがあります。
ことわざ辞典で調べてみると「①坂を上るには時間がかかるが、下るにはわずかしか要しないこと。②物を作るのは大変だが壊すのは簡単だというたとえ。上りにー日を要する坂道となれば、普通は山道であろう。上りがー日に対して下りがー時(二時間)というのは、もちろんことわざ特有の誇張した表現だが、感覚的にはそれくらいの時間差が感じられるというのだろう。……」と、あります。

 確かにモノを作り上げるのも、人との信頼関係を築くのも、このことわざが表現してくれるとおりです。
さらに私は、プラスやマイナスの氣の性質をも表しているように思うのです。
マイナスの氣は、集まり始めるとどんどん同調して時間的にはあっという間に強くなるので、それにより調子が悪くなることがあります。
一方プラスの氣は、急激には増えないので、少しずつその効果が現れます。
何か問題があって真氣光を始めても、「上り一日」ですから、それが改善するには時間が少々かかるものです。
早く良くなりたいと誰もが思うのですが、そこで焦りは禁物です。
新たなマイナスの氣を呼んでしまうことにならないようにしなければなりません。
真氣光を利用することで、プラスの氣を取り込めますから、少しずつでも良くなっていることがあるはずで、その部分をしっかりと見て「いいとこ探し」をしながら、着実・確実に前進することなのです。
さらには、マイナスの氣を集めてしまう原因があるかもしれませんから、そちらに意識を向けることも大事です。
その際、どんなに人のせいだと思うことでも、氣の観点から考えると、自分の方に気づかなければいけなかったこと、マイナスの氣を寄せつける要因があったはずですから、そこに目を向け自分自身の気持ちや行動を変えていくことがポイントです。
それが「上りの時間」を短くするのだと思うのです。