ほんの少しだけ

 『2013年を表す「今年の漢字」は「輪」』清水寺で発表され、テレビニュースが伝えていました。
東京五輪の開催決定や、富士山の世界文化遺産登録、サッカーW杯への日本代表の出場決定など「日本中が輪になって歓喜にわいた年」であり、台風など相次ぐ自然災害にも支援の輪が広がったことなどが理由に挙げられたようです。
文字を書き上げた森貫主は「『輪』には、大勢の人が手を握りあい円滑に回転していくという意味がある。
皆が譲り合い支え合って、来年も震災復興など輪のつながりに努力していきたい」と話したということです。
また今年の世相を映した言葉を選ぶ「2013ユーキャン新語・流行語大賞」も発表され、年間大賞には「じぇじぇじぇ」「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「倍返し」が選ばれたということです。
私はやはり、滝川クリステルさんの五輪招致でのスピーチが印象的でしたから、「お・も・て・な・し」が今年一番の流行語ではないかと思っています。
 ところで、「輪」にも「おもてなし」にも、共通することですが、人はほんの少し心が通い合うことで、幸せを感じることができるものです。
これは家族、友人に限らず、誰とでも、ほんの少しだけ分かり合えたと思うことで、心が穏やかになるのです。
ここでのポイントは、「ほんの少しだけ」というところにあります。
人は時に多くのこと、たくさんのものを求めて落胆し、憤り、怒りを覚え、悲しむのです。
そして、それをいつまでも持ち続けてしまうのです。
さらに、それ以上の幸せがやって来なければ、絶対に幸せでは無いとまで思ってしまうこともあるでしょう。
しかし、大きな幸せを掴むのには、とても時間がかかるものですし、努力も必要です。
そして、それを成し遂げるまでには、いろいろな不幸があるでしょう。
そのように考えると、なかなか幸せにはなれないことになってしまいます。
だからこの少しだけということを思い出し、少しだけの幸せをできるだけ多く集める、感じられる生活をするということなのです。
現在の生活を今一度、見直してみるのも良いでしょう。
身の回りに多すぎるものや事柄は無いか、もっともっとと思って満足できていないものはないか、他の人にとても大きな期待をかけてはいないか、いつも不満げな物言いや態度はとっていないかなど、細かく見てみることです。
何か見つけられたなら、それを「ほんの少し」に変えてみることです。
全てをやめなければいけないということではないので、誰にでもできることだと思うのです。
(中川 雅仁)
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