(53)何も言わなかった

私が氣を送っていると、A さんは胸が苦しいと訴え始めました。最初は辛そうにしているだけで何も言えないようでしたが、次第に氣が届いたのか楽になったようでした。そして、何かを話し始めたのです。話に耳を傾けてみると、どうやらご本人自身ではなく、その人の口を借りて出てきている違う人、つまり魂だったのです。「私は、何も言わなかった。みんなが、困るようなことは何も言わないから…。だから私が居ても居なくても誰も困らない、何も言わないから。名前があっても、ただの物。言いたいことを言わないで、ずーっと生きてきた。それがみんなのためと思っていた。でも自分のためにならないことは、人のためにはならないの。自分が、ただ弱かっただけ。誰のせいでも無い。どうしたら良いかわからなかっただけ。」その人は、心にたくさんのものを溜め込み、苦しいまま亡くなったのでしょう。しかし、亡くなった後も苦しさが続いていて、たぶん似たような体験を持つA さんのところに来たのだと思います。「でもね、私、この人に、こうやって自分の気持ちを言える機会を与えてもらったの。ね、こうやって…。良かった。」と言って、その魂は涙を流すのです。私は、彼女の話す言葉がずいぶん変わって来たことから、真氣光がかなり浸透してきたと確信できましたので、黙って氣を送り続けました。するとA さんは、何度か激しく咳き込みましたが、その後また話し始めたのです。「人の心って難しいわねぇ。こうしたらいいって言う答えがないの。でもね、心に光の入り口をつけて、少しずつでも光が入って…、光って言うよりは風通しが良くなるのかな。そして息苦しさが少しずつ消え晴れやかな気持ちに変わって、気がついたら真っ黒で堅い石が、明るいそよ風が吹いている場所に変わっているの。そうなれば人の心は自由でしょう。たとえ周りが変わらなくても、自分の心が明るくなれる。何があっても平気よね…。」そう言って、その魂は光の世界に逝かれたのでした。人 の心は一人ひとり皆違い、感じ方は様々です。ですから、それを解決できる“ものの考え方”も、人によって皆違うということになります。ですから同じ悩みでも、ある人には効果がある言葉も、ある人には効果がないのです。しかし真氣光は魂に作用し、根底から心を軽くしたり明るくするのです。私は、彼女の話の中から、魂に真氣光の光が充電され、心にどのように作用するのかという事を教えられたのでした。