2022年7月「侑季蒼葉」さん
- 侑季蒼葉(ゆうきあおば)さん
一般社団法人伝筆協会理事長。1961年愛知県生まれ。センスがなくても、クセ字を矯正しなくても、だれでも一定以上のグレードのうまさを再現できるノウハウを構築。2015年一般社団法人伝筆協会設立。2017年エヴァンゲリオン展とのコラボを実現。手書き文字を通して、心が通い合う喜びを世界中に広げたいというビジョンのもと、オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパなどにも展開中。著書「直線で書けば今すぐ字がうまくなる!」(サンマーク出版)
『筆一本で世界中に「笑顔」と「元気」を広げたい』
難しい技術を捨てて単純な線さえ書ければ何とかなる
- 中川:
- 侑季先生は『伝筆(つてふで)』という筆文字を教えておられますが、拝見すると、心が温かくなるような字で、とてもいいですね。こんな文字ではがきをもらえば幸せな気持ちになると思います。 4時間半ほどのレッスンで書けるようなるということですが。
- 侑季:
- 90分を3回ということで初級コースを設けています。90分あれば大体のコツはつかめます。でも、それだと「書ける」ということはわかっても、なかなか普段の生活で使ってみるところまで行かないことが多いんですね。自信をもって書けるよう、あと90分を2回やります。そうすると、手紙を書いたり、カフェをやっていればメニューを書くといったようなことに使ってくれます。
- 中川:
- でも、けっこう芸術的なセンスが必要なんじゃないかと思います。たった90分でコツがつかめるんですか。
- 侑季:
- 字を上手に見せるには規則性があるんですね。それに則って練習すればだれでも簡単にできます。「私は字がへたくそなので」と言っていた人が、90分後にはしっかりとした筆文字が書けるんです。みなさん、びっくりされますね。 ある程度書けるようになると、楽しくて仕方なくなります。「練習しなさい」と言わなくても、どんどん書くからますます上手になにくい。だったら、それは捨ててしまえばいいと気づきました。つまり、直線で書くことを意識するんです。それだけでも、字全体の統率がとれると同時に、図形のような字になって、バランスが整います。
- 中川:
- そういうものですか。先生はもともと字がお上手だったのではないんですか。
- 侑季:
- とんでもありません。謙遜ではなく、とてもへたくそで、人前で字を書くのが恥ずかしいくらいでした。でも、面倒で練習もしなかったものですから、字にはずっとコンプレックスがありました。特に筆なんて、小学校、中学校の習字の授業以来もったこともありませんでした。
- 中川:
- 私もそうですが、多くの日本人は学校の習字で挫折しているのではないでしょうか。どうがんばってもお手本のような字は書けませんから嫌になってしまいますよね。
- 侑季:
- 学校教育では、できないことをできるようにしようというのがあって、いつもできないことを指摘されるので気持ちがなえてしまいますね。 習字は難しいものだと思い込んでしまうと、筆をもつのが怖くなります。 でも、難しいハネやハライ、ソリを捨てて単純な線さえ書ければ何とかなるんだと思うと、チャレンジしてみようと思いますよね。ダメだと思っていたものができるかもしれないと思えるうれしさってあるじゃないですか。 そして、やってみたら書けちゃったとなると、エネルギーは一気に上がります。家に帰って家族に見せると、「買ってきたの?」と言われて、「私が書いたの」とどや顔で答えるのって快感だと思いません(笑)。
- 中川:
- それは快感ですよ。ところで、先生はどういう経緯で伝筆を始められたんですか?
- 侑季:
- そうそう、いつごろだったか忘れましたが、「真氣光」のことをどこかでお聞きしたことがありました。と言うのも、私は22歳のころからヨガのインストラクターをやっていました。今のようなおしゃれなヨガではなくて、瞑想とか断食といった修行的なことをやっていたころです。だから、東洋的なことにとても興味があって、真氣光のことを聞く機会があったのだと思います。
- 中川:
- ヨガをやっておられたのですか。真氣光も、伊豆下田にある沖ヨガさんの道場で研修講座をやっていました。
- 侑季:
- 私が習った先生も沖ヨガの関係じゃなかったかな。
- 中川:
- ヨガのインストラクターは長くやられていたのですか?
- 侑季:
- 20年間やっていましたね。その後、コミュニケーションのコーチングを知って、そちらに力を入れるようになりました。 ヨガはみんなが元気になればいいなと始めたのですが、体からのアプローチが中心でした。私は、元気になるには、人間関係や自分らしく生きるためのアプローチも必要なのではと思い、コミュニケーションの世界に足を踏み入れました。 コーチングも好きでしたが、もっと簡単に人が笑顔になって元気になれるものはないかと、コーチングをやりながらずっと模索していました。
<後略>
東京・日比谷松本楼にて 構成/小原田泰久
- 直線で書けば今すぐ字がうまくなる!
侑季蒼葉 (著)
サンマーク出版