2020年7月「西本 真司」さん
- 西本 真司(にしもと・しんじ)さん
1961 年和歌山県生まれ。近畿大学医学部卒業。熊本大学医学部附属病院 麻酔科などを経て、1996 年西本第 2 クリニックを開業。2006年に西本クリニックと西本第 2 クリニックを統合し、西本クリニックの院長に。自らの闘病体験を生かしたホリスティックな医療を実践している。著書に『潰瘍性大腸炎が治る本』「潰瘍性大腸炎は自分で治せる」(マキノ出版)な どがある。
『統合医療、ホリスティック医療でコロナウイルスを乗り切る』
コロナウイルスで亡くなる人は家族に看取られずに旅立つ
- 中川:
- 新型コロナウイルスの関係で外出を自粛しないといけないので、会社の会議や真氣光研修講座、セッションもオンラインでやっています。 今日の対談もオンラインということでよろしくお願いしま す。前回、先生が対談に出てくださったのは2015年6月号でした。ちょうど5年前です。
- 西本:
- 5年前はわざわざクリニックまで来ていただき、ありがとうございました。患者さんたちも会長から氣の話を
- 中川:
- 新型コロナウイルス、和歌山はいかがですか。
- 西本:
- 和歌山では2月の半ばにクラスターが発生しましたが、感染症の専門医や県が早急に情報を集め、適切な対応をしたことで、感染の広がりを防ぐことができました。今はとても安定しています。
- 中川:
- 世界中で大騒ぎになっていますが、日本は比較的成績がいいと思うのですが。
- 西本:
- いいと思いますよ。亡くなった人は本当にお気の毒ですが、統計から見れば、人口100万人当たりの死亡率は金メダル級じゃないでしょうか。もうちょっと胸を張ってもいいのではと思います。
- 中川:
- 新型コロナウイルスは未知のウイルスということで警戒が必要だとは思うのですが、私たちのまわりには常にウイルスはいるわけですよね。
- 西本:
- ウイルスや細菌は約38憶年も前から地球にいます。人類の祖先が地球に出現したのは500万年とか600万年前のことです。
- 中川:
- そんなに昔からいたのですか。大先輩なのだから、一方的に悪者扱いするのは良くないですね。
- 西本:
- 共存することが大切だと思います。
私は1990 年、麻酔科医になって2年目の暮れ、潰瘍性大腸炎を発症し、大腸全体に炎症が起こる「全大腸炎型」と診断されました。99・999パーセント治らないと言われ、落ち込みました。当時は、一日に40回以上の下痢に悩まされていましたね。生死の境をさまよったこともありました。
7年間、良くなったと思ったら悪化するといった状態を繰り返しました。そのときに真氣光を知って、真氣光研修講座、当時は氣功師養成講座という名前でしたが、そこにも参加しました。
潰瘍性大腸炎になったことで、腸内の環境についてずいぶんと勉強し、人間が健康に生きるためには腸内細菌はなくてはならない存在だということもわかりました。細菌を悪者だと決めつけて体内から排除すると人間は健康ではいられなくなります。きちんと共存できているからこそ、人間も細菌も生きていけます。ウイルスも同じで、お互いに助け合う関係にあるはずです。上手に折り合いをつけながら付き合っていくことが大切です。 - 中川:
- 西洋医学的な考えだと、どうしてもウイルスや細菌を殺してしまうという発想になりますからね。もちろん、ウイルスがあまりにも広がり過ぎれば、そういう処置が必要なこともあるのでしょうが、根本は自分自身の免疫力
を高めることだと思います。 - 西本:
- 西洋医学を否定するわけではありませんが、こういうときこそ、東洋医学とか代替療法、統合医療、ホリスティック医療にも目を向ける必要があると思います。
私は、病気の治療というのは「Body(体)」「Mind(心)」「Spirit(魂)」のすべてにアプローチしないといけないと考えています。西洋医学は基本的にはBodyを対象にします。Mindは、ほんの少し、Spiritには手が回りません。
コロナウイルスのことで言えば、看取りのときに家族は何もできません。ずっとお世話になったおじいちゃんやおばあちゃんに別れも言えず、骨になってから家に帰ってくるというのはどうでしょう。亡くなった方も遺族の方もつらいだろうと思いますよ。MindやSpiritの部分でのケアが必要な場合もあります。 - 中川:
- 新型コロナウイルスで亡くなった芸能人の方が、お葬式もできず、骨になって自宅へ帰ってきたというニュースを見ました。ご家族のことを思うと胸が痛みました。
- 西本:
- 感染症は危険度によって5段階に分類されています。エボラ出血熱やペストなどが1類、ポリオや結核、SARSなどは2類。新型コロナウイルスも2類です。1類と2類は危険度の高い感染症ということで、隔離が必要です。ですから、1類2類の感染症で入院すると、だれもお見舞いに行けないし、亡くなれば家族に会えるのは骨になってからという悲しいことになってしまいます。新型コロナウイルスが、3類以下になればきちんとお別れができます。そうなるといいのですが。
新型コロナウイルスがどれくらい危険かを、さらに検証して、看取りというところでも、悲しみを減らす方向に進んでくれるといいと思います。
私は、ご家族が亡くなったときのご遺族の心のあり様とか、亡くなった人の魂はどうなのかといったことまで考える医療が大事だと思っています。
<後略>
5月14日 エスエーエス本社と西本クリニックをZOOMでつないでの対談 構成/小原田泰久
- 著書の紹介
小林正観さんの「奇跡のセイカン」 (生まれてきた本当の意味がわかる本) 西本真司(著) マキノ出版