今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2020年2月「青野 豪淑」さん

青野豪淑

青野 豪淑(あおの・たけよし)さん

1977年大阪府生まれ。高校を卒業後、食肉店に勤めるがBSEのあおりで転職。住宅や宝石販売などの営業をする。26歳で4000万円の借金を背負い自殺を考える。生き直そうと思い、ヤンキーや引きこもりなどの若者を救うために2006年にIT企業「株式会社フリースタイル」を設立。著書に「ヤンキーや引きこもりと創ったIT企業が年商7億」(朝日新聞出版)がある。

『どん底からの志。 ウルトラマンになって世の中を良くする』

26歳のとき、4000万円の借金を背負って死のうと思った

中川:
青野さんのことは青山学院大学名誉教授の石井光あきら先生から、面白い人がいるので対談してみてはどうだろうとご紹介いただきました。さっそく青野さんの書かれた『ヤンキーや引きこもりと創ったIT企業が年商七億』(朝日新聞出版)という本を読ませていただきました。本当に波乱万丈の人生ですよね。内観で人生が変わったといったことも書かれていました。
青野:
石井先生はすばらしい方です。偉い人なのに威張らないし、いつも静かで冷静で、尊敬しています。
中川:
青野さんの20代のころのジェットコースター人生、すさまじいですね。
青野:
クズの人生でしたね(笑)。小学校のときにお金があれば幸せになれるって信じていましたし、そのころからお金を稼ぎたくてたまりませんでした。
高校を出て肉屋に就職したのですが、早く仕事を覚えてたくさん稼ぎたかったので内定が決まってから毎日お店に行きました。その甲斐あって、入社後はだれよりも高い評価をもらって「肉屋のスーパースター」と呼ばれました(笑)。
ところが2001年にBSE(牛海綿状脳症)が流行って、肉が売れなくなりました。自分が店長になる辞令も出ていたのに、その話も立ち消えになり、一気にやる気をなくしてしまいました。
肉屋は3年で辞めました。もっと稼ごうと住宅販売の会社を皮切りに、羽毛布団、浄水器、宝石と、会社を転々としながら営業の腕を上げていきました。とにかく片っ端から販売して月に200~300万円を稼いでいましたから大成功ですよ。
当時は調子に乗っていました。まわりを見下していましたから。年上の人に対してよく噛みついているような奴でした。まあ、最低のクズですよ。
中川:
そんな青野さんが多額の借金を背負って自殺しようとまで思いつめたわけですよね。
青野:
もっと成長したかったんです。成長するには勉強をしないといけないと思い、高い教材を惜しげもなく買いました。大阪から東京まで高額のセミナーを受けに通ったり、自腹を切って東京から講師を呼んだりもしました。気がついたら稼いだお金はすっからかん。どんどん借金がかさみました。
自分はいつでも稼げるという思い上がりがありましたから、そんなもんすぐに返したると、さらに借金を重ねてしまうわけです。ところが、いざ営業の仕事につくと、これまでと違ってまったく成績が伸びない。売ろう売ろうと利益だけ考えるから売れないんですね。
いつの間にやら借金は4000万円。26歳のときでした。
電気もガスも止まってしまったので水風呂に入っていました。出勤するとまわりから臭いと言われる。そんなこと気にしなくていいのに、落ち込んでいるときはいろんなことが気になってしまって、今でも言われた事を覚えているぐらいです。
玄関にはいつも借金取りがいました。借金を毎月返しながら生活しようと思うと、毎月200万くらい稼がないといけませんでしたが、そんな状態でやる気を出せと言ってもでないんですよ、当時3階に住んでいましたが、3階の窓からパイプを伝って出勤していました。
気が沈んで沈んで沈みまくって、その先に行くとどうなると思いますか。死のうと思うと、心が浮かれてくるんです。死ねば借金取りから逃げられると思うとちょっとルンルン気分になるんです。早く生まれ変わって次は王子様に生まれたいなみたいなね(笑)。
これは自殺の体験をした人しかわからないと思います。でも、ほとんどの人は亡くなっていますので、そのことを話せるのはぼくくらいですかね(笑)。
中川:
借金取りが玄関で待ち構えているわけですね。
青野:
顔を合わせると胸倉をつかまれて脅されるわけです。最初は自信過剰だったから、「すぐ返したるわ」とタンカを切っていましたが、だんだん自信もなくなってきて、3階から出るような情けない状態になってしまいました。
自殺を考えるころになると、友だちや姉から弁護士に支払いをせんとあかんからとウソをついてお金を借りたりしていました。
母や姉が料理を作って持って来てくれたことがありました。そんなときも、なんでお金をもってきてくれへんのや、と思っていました。そう思う自分が嫌で自己嫌悪に陥ったりと、完全に悪循環でしたね。
中川:
どんどん暗闇に引っ張られていくって感じだったんでしょうね。
青野:
こんなクズはおらんほうがええ、と心底から思いましたよ。

<後略>

2019年12月3日 東京・日比谷松本楼にて 構成 /小原田泰久

著書の紹介

「ヤンキーや引きこもりと創ったIT企業が年商7億」 青野 豪淑(著) 朝日新聞出版

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