今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2015年7月 「堤 江実」さん

堤 江実(つつみ えみ)さん

詩人、エッセイスト。文化放送アナウンサーを経て、現在、詩、翻訳、絵本、講演など幅広いジャンルで活躍中。世界一周クルーズ「飛鳥Ⅱ」では詩の朗読教室を、また自作の詩の朗読コンサート&ワークショップ、日本語の研修などを通して詩と言葉の魅力を伝えている。著書に「日本語の美しい音の使い方」(三五館)「何兆分の一の奇跡」(YES)「つたえたいことがあります」(三五館)ほか多数。http://homepage3nifty.com/emitsutsumi/

『詩を通して、日本語の美しさ、素晴らしさを伝えていきたい』

急に詩が書きたくなり、天から言葉が落ちてくるように書き出した

中川:
目に見えないエネルギーをテーマにしてきましたが、言葉というのも、一種の氣だと思っています。日本には言霊という言い方もありますしね。堤さんの詩からは、やさしいけれどもとても芯の強いエネルギーを感じますし、堤さんが書かれた日本語に関する本を読ませていただくと、言葉をこうやってとらえておられるのかと、はっとすることがたくさんありました。今日は、どんなお話をお聞きできるのか、とても楽しみにしてきました。
堤:
ありがとうございます。対談相手に選んでいただいてとても光栄です。私も、氣にはとても関心がありますので、中川会長とお会いできるのを楽しみに参りました。
中川:
堤さんは、今は詩人ということで活動されていますが、もともとはアナウンサーだったそうですね。
堤:
大学を出て最初の仕事がラジオのアナウンサーでした。大学に入学したとき、演劇部に入ろうと思っていたのですが、やたら派手で(笑)、これは合わないと思ったので、放送研究会に入りました。アナウンサーになりたいとは思っていませんでしたが、卒業するときに、全員がアナウンサーの採用試験を受けたので、私もつられるように受けたら受かったというわけです。決して、主体性があってのことではありませんでした。
アナウンサーをやったのは5年だけです。そのあと、ビジネスを立ち上げて、24年間、社長をやりました。
中川:
ビジネスをやっておられたのですか。そのあとですか、詩をお書きになるのは。
堤:
50歳くらいになったとき、このままではお金と人の心配ばかりで一生が終わってしまうかもしれないと思いましてね。それで、会社を辞めようと決心しました。でも、当時、一人で子ども2人を育てていましたので、自分のできることで稼がないといけません。それで、ビジネスコンサルタントをしたり、マーケティングや女性の仕事についての本を書いていました。あのころは、女性で事業をしているという人は珍しかったので、あちこちから声がかかり、おかげさまで、子どもたちはアメリカの大学へ行き、無事に卒業することができました。
中川:
詩は、それからなんですね。
堤:
詩は、書こうとか、書きたいと思って始めたことではないんですよ。流れに乗せられたという感じで始めました。
子どもたちが大学へ行っているとき、彼らが大学を卒業したら、3人そろって何かをするということはできなくなると思って、夏休みに、みんなでヨーロッパの友人を訪ねようという計画を立てました。私だけ先に行って、ドイツの友人宅にお世話になっていましたが、その友人がスピリチュアル系のコンベンションがあるので、2泊3日で出かけることになりました。私も、同行することにしましたが、友人と、その友人の知り合いとの車での旅で、道中、彼らはドイツ語で会話しているので、私には何を話しているかさっぱりわかりませんでした。暇を持て余していると、急に詩が書きたくなってきて、紙とペンを出して車の後ろの席で書き始めました。天から落ちてくるようにスラスラと言葉が出てきました。結局、車の中で、23篇の詩が出来上がりました。
中川:
急に、詩を書いてみようという気持ちになったんですね。そして、落ちてくるように詩が浮かんだ。何か、大きな力が、堤さんに詩を書かせたのでしょうかね。
堤:
そんな気がします。帰国してからも、とても面白い流れが起こるんですね。ある翻訳の企画を出版社に預けてあって、帰国したあと、その打ち合わせをしました。そのときに、編集者が、短い詩の本をつくりたいと言い出しました。私は、ドイツで作った詩をコピーしてもっていたので、すぐにそれを見せました。すると、詩を読んだ編集者が、実は天使の絵を描く人がいて、その絵とこの詩で一冊本を作りたいと、その場で話が決まりました。
それをきっかけに、その本を含めて、とんとん拍子に、3冊の詩集が世に出ることになるんですね。
中川:
それは、何か導かれているような感じがしますね。自分が本当にやるべきことと出あうと、びっくりするほどスムーズに事が運んでいきますからね。
堤:
詩集を出したあと、いろいろとお手紙をいただきました。いただいた手紙を読んだとき、これが私の中の一番いいものかもしれないと思いました。
私が書いたみたいとか、私が思っていたことを言ってくれているというようなお手紙がほとんどでした。だれにでも書けるって言われているのかなと、最初はむっとしましたが(笑)、ユングの集合無意識みたいなもので、みんなの思いが私のところからひょっと出ただけのことなのだと思い直したら、そこで、自分がどう詩と向き合っていけばいいか、スタンスが決まりましたね。

<後略>

(2015年5月12日 東京都新宿区内の喫茶室にて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

「日本語の美しい音の使い方」 堤 江実 著 (三五館)
「つたえたいことがあります」 堤 江実 著 (三五館)

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