今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2015年2月 「大門 正幸」さん

大門 正幸(おおかど まさゆき)さん

1963年三重県生まれ。大阪外国語大学卒。名古屋大学文学研究科修了、人文学博士(アムステルダム大学)。中部大学大学院国際人間学研究科・全学共通教育部 教授、米国バージニア大学医学部客員教授、国際生命情報科学会(ISLIS) 常務理事、人体科学会理事、Society for Psychical Research会員、Society for Scientific Exploration会員。言語研究に携わる一方、「意識の死後存続」や「生まれ変わり」現象の研究を通して人間の意識や、心の問題の探究を続けている。著書に、退行催眠中に本人が知らないはずの言語を話す異言現象について報告すると同時に、21世紀のスピリチュアリティ研究構想について提案を行った『スピリチュアリティの研究~異言の分析を通して』(2011年、風媒社、人体科学会 湯浅賞奨励賞受賞)がある。また池川明氏との共著 “Children with Life-Between-Life Memories”をはじめ、臨死体験や過去生の記憶を持つ子供に関する論文を多数執筆。映画『かみさまとのやくそく〜胎内記憶を語る子どもたち〜』(荻久保則夫監督)出演。ホームページ http://ohkado.net

『真の幸福のためにはスピリチュアルな世界は不可欠』

思考や意識、記憶は、脳を超えたところにあるのではという疑問

中川:
私どもは、氣を通して、目に見えない世界の大切さを知ってもらおうという活動をしています。しかし、氣というと、言葉としてはかなり浸透してきましたが、まだまだ科学では解明されてないものなので、怪しいものだと思っている方もたくさんおられます。そんな中で、スピリチュアルな世界を研究されている大学の先生がおられるということで、ぜひお話をお聞きしたいと思い、おうかがいしました。私としては、そういう研究をされている先生がおられるというのは、本当に力強い限りです。大門先生は、どうしてまた、スピリチュアルなことに興味をもたれたのですか?
大門:
流れとしては2つあります。私はもともとは言語学をやっております。人間の頭の中で、言葉がどう処理されているのだろうかというのが、私のメインの研究テーマです。ずっとその研究をしていて、ふと疑問に思ったことがありました。それは、言語もそうだし、思考とか意識とか記憶というのは、脳の働きだけでは説明できないのではと思うようになってきました。
中川:
思考や意識や記憶と脳の関係ですか。
大門:
そうです。それと、もうひとつが、飯田史彦先生の「生きがいの創造」という本を読んだことですね。学生から、おばあちゃんが亡くなって悲しんでいるとか、両親が離婚して悩んでいるとか、就職活動で全滅して落ち込んでいるといった悩み相談を受けたりしたとき、うまく語る言葉がなくて、それでも慰めになることを言ってあげられればいいなということで、人生論的な本を読んでいたときに出あった本です。この人生観はいいなと思いました。
中川:
確か、生まれ変わりについて書かれている本ですよね。
大門:
そうです。この本では、ある程度、研究の裏付けのある事例が出ていましたので、学生たちに、この本を読んでみたらとすすめたりしました。でも、この本は海外の研究がほとんどで、日本で同じような研究はないのかと探しましたが、どうもやっている人はいなさそうだということで、自分でやってみるかと思ったわけです。それが、2009年でしたね。
中川:
なるほど。今、先生が言われた、思考や意識や記憶が脳だけの働きではないということですが、もう少し、詳しくお話ししてくださいますか。
大門:
言語でコミュニケーションをするときには、インプットとアウトプットが正常でないとできませんよね。言葉がうまく入ってこなくても、言葉を出すことができなくても、コミュニケーションがスムーズにできません。これは脳の働きと見てもいいと思います。
しかし、インプットとアウトプットの機能ばかりではコミュニケーションはできません。そこに、思考や意識や記憶という働きが必要で、それらは脳のコントロールを受けないところにあるのではないか。そう考えないと説明できない事象が多々あるのです。
たとえば、バム・レイノルズさんという女性ミュージシャンの臨死体験の報告があります。医学的データに基づいた、とても信ぴょう性の高いものです。
彼女は、脳幹の部分に大きな動脈瘤があって、いつ破裂するかわからないというので、特別な手術を受けました。体温を15度くらいに下げて、血液を抜いて、まったく脳波もフラット、心拍も停止した状態にして取り除くという手術です。いわゆる脳死状態にするわけです。その手術中、彼女はいわゆる幽体離脱をして、手術の様子を見ていたり、あちらの世界で知人にあったりするという体験をします。そのことを、術後に語るわけですが、手術で使った器具とか、医師たちの会話の内容など、細かなところまで、あまりにも正確に語るので、医師たちはびっくりしました。彼女の例から言えることは、言語中枢が止まっていても、回復したときに、そのときのことは覚えていて、思考はしているということです。
中川:
なるほど。脳が働いていなくても、思考したり記憶していたりするということが実際にあるわけですね。それなら、思考や記憶はどこで行っているのでしょうね。
大門:
肉体を超えたところと言うしかないと思います。今の科学では、意識とか思考は、すべて脳によって生み出されているものだと考えられています。ですから、肉体が滅べば、意識も思考も消滅する。死んだらすべてなくなりますよというのが主流です。でも、こういった事例を研究することで、そうじゃないのではないかという問題提起ができると思います。

<後略>

(2014年12月11日 愛知県春日井市の中部大学にて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

『スピリチュアリティの研究~異言の分析を通して』
大門 正幸 著 (風媒社)

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