今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2013年10月 「志賀内 泰弘」さん

志賀内 泰弘(しがない やすひろ)さん

24年間金融機関に勤め、2006年に独立。コラムニスト、経営コンサルタント、俳人など、幅広い分野で活躍。「感謝の心」と「ギブ&ギブの精神」こそ、人生がうまくいく秘訣だと説く。「プチ紳士・プチ淑女を探せ! 運動」の代表として、思いやりでいっぱいの世の中を作ろうと東奔西走中。「毎日が楽しくなる17の物語」(PHP研究所)「つらくなったとき何度も読み返す「ポジティブ練習帳」」(同文館出版)「「また、あなたと仕事したい!」と言われる人の習慣」(共著 青春出版社)など、著書多数。

『ギブ&ギブ。与え続けていれば、必ず、自分に戻ってくる』

世の中には、うれしいことや感動することがあふれている

中川:
はじめまして。名古屋に、「いい話」をたくさん集めて、それを新聞や本で紹介しておられる方がいるとお聞きしまして、ぜひお会いしたいということで、対談をお願いしました。新聞やテレビは、不安になるニュースばかりですので、いい話をお聞きして、ほっとしたいと思いましてね。
志賀内:
ありがとうございます。会長のおっしゃる通りで、新聞もテレビもネガティブな情報ばかりです。「人の不幸は蜜の味」と言いますが、テレビのワイドショーというのは、他人の不幸をネタにして視聴率を稼いでいるようなものだと、私は思っています。ああいう情報は、知らず知らずのうちに、人の心をむしばんでいきます。私は、テレビを見ていて暗いニュースになったらチャンネルを変えたり、新聞なら三面記事は読まないようにしたり、ネットでもネガティブな話題はクリックしないようにしています。
今の時代は、暗い話があふれていますから、いい話を伝えるのは大事だと思って、私は、「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」という活動を始めました。「プチ紳士・プチ淑女」というのは、ついつい見過ごしがちな、小さな小さな親切をする人のことです。たとえば、車を運転していて渋滞に巻き込まれたとします。先で工事をしていて車線が減っているので、隣の車線に移ろうとしても、なかなか割り込ませてくれないときってありますよね。イライラしてしまいます。そんなときに、横に来た車が、入っていいよと合図してくれる。ありがとうということで、ハザードをつける。相手も、ライトをぱっとつけて、どういたしましてと返してくれる。うれしいですよね。
エレベーターに乗るときに、走ってきた人のために、手でドアを押さえてあげるという光景もよく見ますね。手でドアを押さえていると、待っていますよという合図にもなって、走ってくる人にとっては安心感になります。
だけど、親切にしてくれた方々とは、通りすがりの関係でしかないから、あとからお礼も言えません。あまり大したことだとは思わない人が多いのですが、こうした小さな親切というのは、見返りを求めない、とても貴重な行為だと、私は思っています。そういう話をずっと集めては、あちこちで発表しています。
中川:
確かに、車で割り込ませてもらっても、エレベーターで待っていてもらっても、当たり前のこととして流してしまいがちですよね。でも、実際には、とてもありがたいことです。日常の小さなことに、感謝の気持ちがもてると、その人の心の中の喜びは増えていくでしょうね。
志賀内:
世の中には、うれしいことや感謝することがいくらでもあるはずです。でも、それに気づいていない場合が多いんですね。忙しいとか俺が俺がと言っていると、小さな親切を見逃してしまいます。世の中には親切があふれているのにもったいないことです。
私は、人から親切にしてもらったら、それを今度は他の場所で他の人にしてあげるといいと思っています。小さな親切がぐるぐると回れば、世の中が「思いやり」でいっぱいになるのではと思って、この運動をしているのです。
中川:
人は、どうしてもあら探しをしたり、悪口を言ってしまう方向に流れがちですよね。意識していないと、小さな親切にはなかなか気づけません。そういう意味で、志賀内さんが、こんないい話があるよと教えてくれると、そちらの方向にスイッチが入ったりするんでしょうね。
ところで、志賀内さんは、もともとはサラリーマンだったそうですが、どうして、いい話を集めようという活動をするようになったのですか?
志賀内:
そうなんですよ。しがないサラリーマンなんで、「志賀内」というペンネームをつけました(笑)。
私が勤めていたのは金融会社でした。人間関係で大きなストレスを抱えてしまいましてね。特に、上司との関係が最悪でしたね。叩かれて叩かれて、つらい毎日だったんですよ。でも、サラリーマンというのは、上司に仕えるのが当然だと思っていたので、反抗もできなかったですね。あのころは、真面目過ぎたんですね(笑)。それで、35歳のころに、原因不明の高熱、下痢、吐き気が続いて、あるとき大量の出血をして、生死の境をさまようようなことになってしまいました。
その後、両親が倒れて、2人の介護をすることになり、会社を辞めることにして、今の仕事に移行していきました。

(後略)

(2013年8月20日 SAS名古屋センターにて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

左:「また、あなたと仕事したい!」と言われる人の習慣  高野 登、 志賀内 泰弘 著  青春出版社
右: 毎日が楽しくなる17の物語  志賀内 泰弘 著  PHP研究所

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