今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2013年6月 「広田 千悦子」さん

広田 千悦子(ひろた ちえこ)さん

文筆家。うつわ・ことば・絵の作家。三浦半島の西海岸に暮らし、にほんの歳時記・暦・四季、日々の暮らしの中にあるたからものなどをテーマに新聞や雑誌でイラスト&エッセイを連載中。「ほんとうの「和」の話」(文藝春秋)「暮らしを楽しむ七十二候」(アース・スターブックス)「おうちで楽しむ日本の行事」(三笠書房)など著書多数。

『変わりゆく季節の中にささやかな幸せを見つける』

宇宙の不思議をたどっていくうちに日本の行事にたどり着く

中川:
はじめまして。先々月は、こちらでご主人(広田行正さん)と対談させていただきました。そのときには、ご執筆がお忙しいということでお会いできず、ご著書をいただいて帰りました。それを読ませていただいたところ、とても面白くて、ぜひ、ゆっくりとお話をうかがいたいと、再度、お邪魔した次第です。今日は、よろしくお願いします。
広田:
ありがとうございます。私も、氣のことには興味がありますので、お会いできるのを楽しみにしていました。
中川:
すてきな着物ですね。日本の行事とか、和の魅力を書かれておられる方だけに、とてもお似合いですよ。普段から着物が多いのですか。
広田:
そうですね。着物を着ますと、背筋がぴっと伸びますし、気持ちが引き締まりますね。着物は、特別なときに着るというイメージが多いですが、本来は普段着からハレの日の服装まで、あらゆる場で着分けすることができます。面倒な決まりごとがあると敬遠されがちですが、慣れてしまえば簡単です。お店によっては、洋服と同じような値段で買い求めることもできますので、もっとたくさんの方に着物を着ていただきたいですね。中川会長も着物を着られたらいかがですか。お似合いになると思いますよ(笑)。
中川:
似合いますかね(笑)。なかなか着るチャンスはないですが、機会があったら、ぜひチャレンジしてみます。
だけど、この場所は、なんとも言えないいい氣に包まれていますね。この間と比べると緑がまぶしくなっていますし、季節感がありますね。さっきから、うぐいすの鳴き声が聞こえてきて、なんだか別世界に来たような感じですよ。広田さんは、もともとは東京にお住まいだったんですよね。
広田:
長い間、東京で暮らしていました。でも、結婚していずれ生まれてくる子どものためには、もっと自然の多い環境がいいのではないかと、こちらへ引っ越してきました。慌ただしく暮らしていると、どうしても季節を感じて生きることが難しくなりますが、こういう環境にいると、季節の変化が身近にあって、心が豊かになってくるような気がしましたね。
中川:
ここに座っているだけで、その感じはわかるような気がしますよ。
ところで、広田さんは、日本の行事などにとても詳しくて、日本人の伝統的な生活や行事について、たくさんの本を書かれていますが、もともと、そういうことに興味があったのですか?
広田:
特に専門的な知識があるわけではありません。生きていることはどういうことなのだろうと、小さいころからよく考えていて、それをたどっていくうちに、日本の伝統とか行事に行き着いたという感じですかね。日本の行事について、その方法を伝えるのも大事ですが、私にとっては、それが一番の目的ではなくて、宇宙の不思議が、日々の生活の中に落とし込まれているということがすごいということを伝えたいなと思っています。
中川:
『ほんとうの「和」の話』(文藝春秋)という本を拝見すると、「私は星を見るのが好きです」という書き出しですね。星を見ながら、自分たちはどこから来てどこへ行くのかと思いを馳せておられるわけですが、それが日本の伝統や行事とどうつながっていくのか、すごく興味をひきますね。
広田:
私としては、そのつながりを、宇宙とか自分たちがどこから来てどこへ行くのかといったことにあまり興味をもたない人に、どうやったら伝えられるだろうと考えて本を書いているのですが、なかなかうまくいかなくて(笑)。
お彼岸なども、天体の動きと関係しているわけで、日本の行事は、宇宙の摂理を日々の生活の中でだれもが楽しめるようにしているものですよね。特に宇宙を意識しなくても、生活の中に宇宙があるんですよね。そこがすごいことだと、私は思っています。
中川:
私は、週に一度、FM西東京というラジオで話をしていますが、お彼岸の時期には、広田さんのご本からお話を拝借しました。ぼた餅とおはぎの違いも、普段はまったく意識していませんでしたが、春のお彼岸はぼた餅、秋のお彼岸はおはぎなんですね。春と秋と、季節の花に合わせて名前がつけられているという説があると聞いて、なるほど、日本の行事というのは季節と密接な関係があるんだなと思わされました。お彼岸は宇宙の動きとも関係あるわけですから、ぼた餅やおはぎは宇宙ともつながっているということですよね。そんなこと、思ってもみませんでした(笑)。
広田:
不思議なことには以前から興味があって、魂ってどういうものだろうかと、よく考えていました。本を読んだり、瞑想をしたり、ワークショップを受けたりもしました。氣功はやりませんでしたが、中川会長のお名前は存じ上げていました。
いろいろなことをやって、ある程度、自分では納得できたし、これくらいでいいかなというところにたどり着いて、次は、それを日々の生活にどう生かしていけばいいかということを考えるようになりました。
私の場合は、仙人になろうとか悟りを開こうといった大それたことではなく、自分自身もさまざまな葛藤をしてきて、その中でこれでいいんだというところに落ち着けたので、同じような気持ちをもった人と、体験や気づきを共有したいなという気持ちで、本を書き始めました。

(後略)

(2013年4月22日 神奈川県横須賀市 ギャラリー&スタジオ「秋谷 四季」にて 構成 小原田泰久)

著書の紹介

左:「おうちで楽しむにほんの行事」(三笠書房) 広田 千悦子・著
右:「ほんとうの「和」の話」(文藝春秋) 広田 千悦子・著

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