今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2011年3月「天外 伺朗」さん

天外 伺朗(てんげ しろう)さん

東京工業大学電子工学科卒業。工学博士(東北大学)、元ソニー上席常務。ソニーでは、CD、ワークステーションNEWS,犬型ロボットAIBOなどの開発を主導。現在、ホロトロピック・ネットワーク代表。医療、教育、企業経営の改革に取り組んでいる。主な著書に、「運力―あなたの人生はこれで決まる」(祥伝社黄金文庫)「経営者の運力」(講談社)「いのちと気」(共著 ビジネス社)「教育の完全自由化宣言!」(飛鳥新社)など。

『病気は死と直面し意識を変容できる大きなチャンス』

目に見える世界と見えない世界は一体になっている

中川:
今日はとても楽しみにしていました。天外さんと言えば、見えない世界についてたくさんの本を書かれていますし、非常に興味深いネットワークを作られていて、どんなお話がお聞ききできるのかわくわくしながらおうかがいしました。
天外さんは、長年、エンジニアとしてお仕事をされてこられたわけですね。実は、私も氣の世界に入る前には、電機メーカーで技術屋として働いてきました。
私など、父が気功をやっていたにもかかわらず、氣のような見えない世界にはあまり興味を持ちませんでした。その点、天外さんは、お父様が特殊な能力をお持ちで、見えない世界は、ある程度、当たり前のこととして受け止めておられたとお聞きしていますが。
天外:
2006年まで現役で、エンジニアリングとエンジニアリングマネージメントの仕事をやっていました。父は、今で言うサイキックな力がありましたから、私としては、子どものころから、見えない世界があることは刷り込まれていました。ですから、サイキックな現象については、殊更不思議に思うことはありませんでした。そういうことをあまりベラベラとしゃべると人から変な目で見られるということを、後から学んだくらいです。
中川:
見えない世界が別段不思議ではないという状態で、その一方で技術者として、CDやAIBOの開発をされていて、物理的な世界と見えない世界というのは、別々に考えておられたんでしょうか。
天外:
デヴィット・ボームという物理学者がいましたが、彼はホログラフィ宇宙モデルというのを考え出した人で、ノーベル賞こそもらっていませんが、それに匹敵する学者だったと思います。ボームは、目に見える物質世界を明在系、目に見えない世界を暗在系と呼びました。それが別個に存在しているのではなく、一体になって動いているというのが彼の説です。
私は、彼の明在系、暗在系という言葉を、この世とあの世という言い方にしました。つまり、この世の中にあの世があり、あの世の中にこの世があるということになります。ですから、物理の世界と見えない世界は別個に考えるものではないということですね。私は、ずっとそういう感覚でいましたね。
中川:
死んだからあの世へ行くということではなくて、生きているときからあの世にもいるということですね。
天外:
哲学の世界では昔から言われていることです。死んでどこへ行くかと言うと、永遠の時間の中に溶け込んでいくといった言い方がされています。永遠の時間というのは、時間のない世界のことです。時間がないということは、向こう側から見れば死は見えません。こちらから見ると見える。だから、死んだら行くという考え方はおかしいわけです。
中川:
よく、死後の世界はこうだって話が本には出ていますが。実際に行って見てきたという話もあったりしますし。
天外:
向こう側には時間も空間もありません。でも、時間も空間もない世界というのは、私たちには想像もつかないわけです。ですから、こちら側の常識で向こう側も色付けしています。もともと、言語というのは、この世のことを記述するためにあるもので、あちら側のことは言語では説明できません。宗教は、あちら側のことを説きたいのだけれども、言葉で説明できないので、まわりをうろうろしているわけです。
中川:
天外さんは、もともと目に見えない世界になじんでおられたわけですが、改めて勉強したり体験したり、さらにたくさんの本を書かれるようになったきっかけというのはあるんですか。
天外:
私は、ソニーの創業者の井深大という人と非常に近いところで仕事をしていました。彼は、いろいろなことに興味をもつ人で、1984年に、筑波大学で開かれた「科学技術と精神世界」というイベントにも参加したんですね。このイベントはフランス国営テレビと筑波大のジョイントのイベントで、世界中から、科学者、哲学者、心理学者、宗教家を呼んで、非常に盛大に行われました。新体道という武道の青木宏之さんが氣の演武をやって、外国の人たちを驚かせたようですが、その青木さんと井深が親しくなって、青木さんがときどき、ソニーへも来られていました。
そのイベントの内容を、主催者の一人である湯浅泰雄さんという哲学者が5冊の本にまとめました。それを私は井深から、読むようにと渡されまして、読んでみたら、すごく面白くてですね。学者がまとめたものなので、きちんと参考文献も出ていましたから、その文献を片っ端から取り寄せて読みました。ボームのことも、そのときに勉強しました。
中川:
目に見えない世界のことが科学的に説明されるような内容だったんですか。
天外:
いや、科学でもないし、科学的な仮説までもいっていませんね。ボームの言っていることも、私が書いていることも、私は科学的ロマンと呼んでいます。仮説とするには、まだ詰め切らないといけないところがたくさんありますから。

(後略)

(2011年1月18日  東京都渋谷区のホロトロピック・ネットワーク事務局にて 構成 小原田泰久)

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