2004年7月 「淀川 英司」さん
- 淀川 英司(よどがわ えいじ)さん
1939年秋田市に生まれる。1970年東北大大学院博士課程修了。同年日本電信電話公社(現NTT)電気通信研究所入所。1986年から1993まで㈱ATR視聴覚機構研究所代表取締役社長。NTT基礎研究所主席研究員を経て現在、工学院大学情報工学科・大学院情報学専攻教授。人間の視覚情報処理、認知科学、知能情報処理の研究に従事。工学博士。
『氣の解明は「心・精神・生命」の理解へのかぎ』
自分の手からの氣を見て健康チェック
- 中川:
- 初めまして、中川です。ご多忙の中、ありがとうございます。
- 淀川:
- 大学の役員などもしておりますので、何だかすごく忙しくなりまして(笑)。でも、中川さんには以前からお目にかかりたいと思っていました。私は、ずっと氣など見えないものに興味を惹かれておりましたから。
これは、学会誌の「私の意見」というコラムに掲載された、「『気』へのアプローチ」と題した私の小文ですが…95年の3月号ですから、もう10年近く前ですね。 - 中川:
- えっ、「電子情報通信学会誌」ではないですか。私も以前、この学会に入っていましたので、読んでいましたよ。大学を卒業してから、電機会社の研究室に勤めていたものですから。これは、いろいろな情報産業、コンピューターや家電、弱電関係の専門誌ですね。こういう学会誌に、10年も前に氣についてお書きになっていたとは、驚きました。普通は、ないと思いますよ。
私は、仕事のストレスから胃の具合を悪くしまして13年前にその研究所を退職し、父である先代が始めた今の会社に入ったので、この学会誌から縁遠くなってしまって、先生の論文が掲載されたのは知りませんでした。 - 淀川:
- お父様、亡くなられたのですね。お元気なうちに、お会いしたかった。お父さんのご著書も拝読しています。先程も言いましたが、私は見えないものに関心がありましたものですから。
「見えないものに」と言いましたが、私は幼い頃からちょっと、見えていた(笑)。小学校の頃に、先生が教壇に立たれますとね、先生の背後に光が…オーラというのでしょうか、そういうものがはっきりと見えたものです。仏像の後光のように。そういうことは普通のことで、皆も私と同じように見えているものと思っていました。でも、だんだんと、どうもそうじゃないらしいと気がつきまして、そのうちに忘れてしまいました。 - 中川:
- 今はいかがですか。
- 淀川:
- それがまた、そういえば…という感じで思い出したのが、10数年前頃ですね。気をつけて見てみたら、子供の頃の方がはっきりはしていましたが、それでもちゃんと見えました。私はそれまで、音声などでコミュニケーションができる秘書ロボットなどの開発のための基礎研究をしてきました。人間の代わりをするような最先端のコンピューターを作るために、手本である人間の脳の機能、特に視覚と聴覚のメカニズムの研究をしてきたのです。
- 中川:
- 私も前の会社では、極小ロボットの研究をしていました。
- 淀川:
- そうだったのですか。それで、私は研究すればするほど、コンピューターには真似のできない人間の脳の優秀さを感じましたよ。コンピューターが解析できるのはデジタル情報ですが、人間にはそれ以外の情報である「雰囲気」や「氣」を感じとる能力が備わっているんですね。コンピューターは全体の様子を捉えることが苦手です。例えば、病気の人の血液成分の解析は出来ますが、顔色やしぐさから体調を推し量ることは出来ません。それは何なのかと、本屋に行って氣に関する本を随分買って読みました。
もう亡くなりましたが、日本医科大学の品川嘉也先生が、氣の研究に脳波測定を用いたことなどは、非常に興味深かったです。気功師が一般人に向けて氣を放射している状態で、気功師と氣の受け手の脳波を同時に測定するというものでしたが、双方の脳波に強い同調性が認められたのですね。このことから双方に何らかの情報が伝わっている可能性があるとしているのですが、これは氣の解明への有力な手掛かりとなると思いました。
そして本や論文などを読むだけでなく、自分でも呼吸法を取り入れて朝晩15分ずつ練習するようになりました。わずかな時間ですが続けていくうちに、人間特有の感覚が強化されていくのですね。
朝起きたときに自分の手をかざして見てみると、モヤモヤとした光のようなものが出ているのが分かります。氣なのでしょうね。体調が良いと、その勢いがいいのです。呼吸法を実践するようになってから、まあ概して体調はいいのですが、時折、疲れていたりすると手の周りに見える氣が弱々しいのです。こういうことができると、自分の体調を自分でチェックでき、健康管理するのにいいです。こういうことからも、氣の存在は確信できます。体験は大きいですね。
<後略>
(2004年3月25日 東京・新宿の工学院大学にて 構成 須田玲子)