1997.01「船井 幸雄」さん

船井 幸雄(ふない・ゆきお)さん
昭和8年大阪府生まれ。京都大学農林経済学科卒業。200人を超える経営専門家を擁する、わが国最大の経営コンサルタント会社、船井総合研究所の会長として活躍中。特に流通業界、情報関連業界で氏は『経営指導の神様”と呼ばれ、多くの経営者から絶大な信頼を得ている。「百匹目の猿」(サンマーク出版) ブラス発想の視点 (PHP研究所)他著書多数。
『21世紀はエヴァの時代 真氣光が果たす大きな役割』
世の中はもう変わらざるをえない
- 中川:
- うちの父も、船井先生には会いたがっていましてね。ぜひ、一度会っていただいて、これからの時代について話し合ってもらいたかったですね。
- 船井:
- 私も、関(英男)先生や足立(育朗)さんに、中川先生のことはよく聞かされていましたよ。もうそろそろお会いできるかなと思っていたときに、亡くなられちゃったですよね。
- 中川:
- せっかちな性格でしたからね(笑)。ところで、先日の『フナイ・オープン・ワールド」に参加させていただきまして、本当にありがとうございました。いい勉強をさせていただきました。スタッフもとても喜んでいました。普通のイベントだと、お客さんの奪い合いになるんだけど、あそこではお祭りみたいにみんなが楽しんでいましたよね。ああいったところに、船井先生の言われているエヴァ的な感覚が出てくるんだと思いますね。
- 船井:
- ありがとうございます。実は、オープンワールドの初日、10月15日は体調が悪かったのか、私は会場にいるだけで頭が痛く、困りました。しかし、10月20日の昼ごろから、みごとに良くなったですね。
- 中川:
- きっと、集まられた人の意識が高かったんだろうと思いますよ。
- 船井:
- 確かに高かっただろうと思います。おかげで助かりました。
- 中川:
- うちの父は、足立先生が言われるには、場の悪いところへいって、そこを良くする役割があったようです。だから、チェルノブイリの原発事故で汚染されたところとか、エイズのひどいところとか、貧しい国とか、そんなところばかり行っていましたね。船井先生も同じかも分りませんね。ともかく、行ったところが良くなるようですね。
- 船井:
- いずれにしろありがたいことです。オープンワールドは 年も行います。日にちも、8月22~23日の3日間に決まりました。今回は、有料入場者数が約2万6千人でしたが、次回は5万人くらい集まるんじゃないでしょうか。マスコミにはいろいろと書かれそうですね(笑)。
- 中川:
- 全体的に見て、マスコミの反応も悪くないんじゃないですか。
- 船井:
- 悪くないんですけどね、中にはこういう流れを苦々しく思っているところもあるみたいで、足を引っ張ろうとする力も、確かに働いています。分からない人はいて当たり前なんだけど、分からないからと言って、非難するのは間違っていると思いますね。
- 中川:
- でも、間違いなく、目に見えない世界を敏感に感じ、理解できる人は増えていますよね。世の中は、もう変わらざるを得ないでしょう。船井先生は、いろいろな人を世の中に紹介されていますが、それぞれの人のいい面をいい形で光らせていますよね。非常に意義のある仕事をなさっていると感心させられます。
- 船井:
- 私は、あまり欠点が気にならないんですよね。だれにでも欠点はあるんだろうけど、それ以上のいい面が強く見えてしまってね。だから、欠点だけを見る人からすれば、私はとんでもない人を紹介していることにもなってしまうわけです。
- 中川:
- 普通の人はどうしても、悪いところばかりに目がいってしまうんでしょう。生駒の合宿では、毎朝、どんな小さなことでもいいから、いいことだけに目を向けてもらおうと、いいとこ探しというのを行っています。それだけのことで、感じ方、人との接し方が変わってきます。実は、会社でも、朝礼のときにいいとこ探しを始めました。毎朝、人のいい話を聞いたり、自分で発表して、そこからいろいろなことを感じて、毎日が新しいことの発見の場になるんですね。毎朝の積み重ねが、大きな変化として現れてくるだろうと思っているんです。
- 船井:
- それはいいことですね。欠点なんか探しても仕方ないんですから。実はね、オープンワールドまでは、私はエヴァの時代がくるとは、正直なところ信じていなかったんですよ(笑)。地球のレベルが上がったら、大半の人間が振り落とされてしまうんじゃないかと、そう思っていました。しかし、あそこへ集まっている人たちを見て、彼らが二日間でどんどん変わっていきましたし、ああ、これは何とかなりそうだぞと、自信を持ちました。
- 中川:
- 私も、生駒の真氣光研修講座へ来られる病気でもないし、気功師になりたいわけでもない。そんなことよりも、一つでもいいから世の中の役に立つようなことをしたいと、そんな思いで来られます。すごいことだと思いますね。たぶん、というと、何か特別なことのように思えてしまいますが、本当はそんなことではなくてね、佐藤初女さんにお会いしたときに感じたのですが、心を込めて人と接していれば必ず伝わるものなんですね。きっと、初女さんの作られた料理にはいい がたくさん込められている。だから、何も言わなくても病気も治るし、生き方も変わってくるんだと思います。それは、初女さんだからということではなくて、誰でも、同じことができるはずです。ご主人が仕事から踊ってきてお茶を出すときに、「面倒臭いな」と思って出すのと、ご苦労様」と思って出すのと、同じお茶を入れても、無が違いますよ。そういったことが、かなり急速に分かりつつあるんだと感じますね。
- 船井:
- 結局は、いかに我を捨てられるかでしょうね。で明気を簡単に治してしまう人も多いようですが、そのような人も自分の病気はなかなか治せなかったりしますよね。私も、経営コンサルタントとして、よその会社のことはよく分かるけど。自分のことについてはうまくいかなかったりします。これも、我がなせるわざでしょう。もっとも、そういったことがあるからこそ、修行になるんですね。みんな、あちこちで頭をぶつけて成長していくということでしょうね。
- 中川:
- 生かされているとか働かされているといった感覚はありますか。
- 船井:
-
生かされているんでしょうね。私たちは、近代教育という変な教育を受けているから、どうしても論理的、体系的に納 問しなきゃならないようになってしまっています。だから、疲れてしまったり、悩んでしまったりするわけです。私も、仕事柄、たくさんの問題を持ちかけられます。問先が五千社あって、一日に少ないときで百件、多いときだと三百件の相談があります。その対応だけで、毎日六時間から十時間を費やしています。普通なら、一件だけでおかしくなってしまうような深刻な問題が持ち込まれるわけです。家内なんか、私の仕事の内容を聞いて、よく平気で、夜眠っていられるねって感心しています(笑)。私の場合は、相談を受けているときは真剣ですが、終ったらすぐに忘れてしまえるからアタマがおかしくならないんだと思います。そうでないとやっていられないですよ。もう、自分のことだけを考えていては生きていけないような状況に置かれてしまっていますね。自分で望んだわけではないのにね。世の中は、これからますます大変になってくるでしょう。
景気も良くなりそうにないし、私もまだまだ働かされそうです(笑)。 - 中川:
- 私も、父が急に亡くなって、考えもしなかった仕事をすることになりました。自分が選べるとしたら、きっと選んでないと思いますよ。気楽なサラリーマンを続けていたかもしれない(笑)。でも、これは自分の役割だと考えれば、決っていたことだと思えば、逆に予期せぬ状況になったことが楽しくて仕方ないんですね。生かされているというのもなかなか快適だなってね(笑)。
- 船井:
-
今生は思い通り生きられないだろうと、私は覚悟しています。ももっと高かった方が良かったし、髪の毛も残ってほしかったし(笑)。でも、思い通りにはいかなかった。んでいるだけでなくて。その意味を考えた方がいいですよといったアドバイスをしているんですけどね。父は、病気は神様からのメッセージだからありがたいことなんだよと言っていましたが、その通りだと思いますね。(つづきはハイゲンキマガジン1997年1月号で・・・)
構成/小原田泰久