今月の対談「いい人いい話いい氣づき」

2018年1月 「寺門 克」さん

寺門 克(てらかど まさる)さん

1936年東京生まれ。早稲田大学卒業。旅行会社、出版社をへて、1967年からフリーライターに。1995年からエッセイ教室、俳句教室講師を始める。2001年から5年間、東京経済大学非常勤講師。2014年から俳句研究会「土果塾」を主宰する。著書に『母恋旅――正一と山頭火』(里文出版)『帯津良一「人間まるごと、いのちまるごと」(工学図書)などがある。

『俳句で脳内エステ。楽しく老いに抵抗しながら生きていく』

帯津先生と同級生。 一冊目の本ができるきっかけを作った

中川:
今日は田端のご自宅まで押しかけさせていただきましたが、田端というところは小説家とか陶芸家とか詩人、歌人、画家といった文化人がたくさん住んでいたところだそうですね。
寺門:
田端駅から歩いてくる途中に「田端文士村記念館」というのがありましたでしょ。ここらあたりは、芥川龍之介はじめたくさんの文士たちが住んでいて、いろいろと交流があった場所なので、彼らの素顔や功績を紹介しようということで北区が作ったものです。小説家だと芥川に室生犀星、菊池寛らですね。ほかにも小林秀雄、詩人の萩原朔太郎、画家の竹久夢二とか。わが家から5分くらい歩くと正岡子規のお墓もありますよ。
中川:
そうですか。寺門さんはこちらで生まれ育ったのですか。
寺門:
もともとは赤羽で、疎開して間もなく爆弾で消えました。戦後、昭和23年に田端に親父が家を建てました。中学一年のときです。
中川:
帯津良一先生とは高校の同期生だったそうですね。だから81歳ということですが、お元気ですね。
帯津先生には、私の父である先代のころからお世話になっていましてね。先代と帯津先生も同い年で、ずいぶんと気が合ったみたいで、一緒にアメリカインディアンのホピ族の村へ行ったりしましたね。
寺門:
帯津先生とは小石川高校の同期生ですよ。彼が勤めていた駒込病院はすぐ近くですから、うちへも寄られたことがありました。早朝に駅でばったり会ったこともありました。私が「これから朝粥会に行くんだ」って言ったら、「俺も行こうかな」なんて話になって、一緒に行ったことがあります。朝粥会というのは毎月新橋でやっていた会ですけど、「朝が愉快」にかけているんですよ。わかる人にはわかります(笑)。けっこうな大物がたくさん来られていましたね。
中川:
なるほど。単純に聞こえつつも、なかなか凝ったネーミングなんですね。
寺門さんは出版関係の仕事をやっておられて、帯津先生の一冊目の本は寺門さんがきっかけを作ったとお聞きしていますが。
寺門:
出版関係は長かったですね。最初は小さな出版社で企業内教育の教材を作り、それからフリーライターになって週刊現代の記者をやったり月刊現代に記事を書いたりして、そのあと第一勧銀経営センターというところで会員誌を作る仕事をやっていました。
帯津先生の本にかかわったのは経営センターのころですね。会員誌に、がんの戦略的アプローチというテーマでがん治療は西洋医学一辺倒ではなくていろいろな方法があるという話を書いてもらいました。川越に病院を作ったころかと思います。西洋医学と中国医学を合わせた中西医結合医療というのを始めていましたね。
富士山に登るのも吉田口とか御殿場口とかいくつかあるじゃないですか。それと同じでがんを克服する道はひとつではないという話には、私もすごく納得できました。 
その記事がきっかけで、帯津先生も自分の考え方ややっていることを書きためるようになったみたいで、あるときこんなのを書いたから本にならないだろうかと相談されました。私は帯津先生のやっていたことには賛同していましたから、すぐに講談社の知り合いに話をもっていって、出版が決まりました。
それが「ガンに勝つ《食・息・動・考》強健法」という、彼の記念すべき第一冊目の本です。
中川:
帯津先生は今や300冊近い本を出されていますが、そのスタートに寺門さんはかかわられたのですね。今でこそ、ホリスティック医学とか統合医療は多くの人が知るようになりましたが、その当時は医療と言えば西洋医学だけの時代ですから、なかなか本にはなりづらかったでしょうから、寺門さんという知り合いがいたのは大きかったのではないでしょうか。
寺門:
それはわかりませんけれども、彼の一冊目にかかわったというのは誇らしいですよ。私も『帯津良一「人間まるごと、いのちまるごと」』(工学図書)という、彼のことを書いた本を出させてもらいました。
今でも彼とはときどき飲みますが、高校時代の友だちとこの年までかかわっていられるのはうれしいですよね。

<後略>

(2017年11月27日 東京・田端の寺門克さんのご自宅にて 構成/小原田泰久)

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